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2. お~息子よ

幼児編2.


 何度も執拗に書いてごめんなさいなんだけど、高濃度のエナジードリンクに匹敵する母乳を3時間おきに飲んで成長する愛男は、生後6ヶ月を過ぎてハイハイを完全マスターすると、その行動範囲を驚異的に拡げていった。

 ある日、授乳を終え少々育児疲れのせいか、絶倫子は巨峰乳首を露にしたまま、ついつい、うとうと寝入ってしまった。

 そのスキに、愛男は「チャンーース♪」と思ったかどうかは定かではないが、既にハイハイを完全マスターしていた技に更に磨きをかけて高速ハイハイを会得したのだった。

 流石にまだ立って歩くことは出来無かったが、高速ハイハイのスピードと俊敏さはステルス性に優れていた。

 愛男は母が爆睡中の僅かの時間を見計らって、屋敷中を高速ハイハイしまくった。

 そして偶然に辿り着いたのが父の書斎であった。

 たまたま部屋のドアが少し開いていたのであった。

 父、種薄は多忙であった。

その日も朝早くから本社の経営会議に出社していた。

高速ステルスハイハイで、屋敷の5人の家政婦には誰にも気付かれることなく愛男を書斎に侵入した。

部屋中をあっちにハイハイ。こっちにハイハイ。

ハイハイを繰り返しているうちに、愛男を種薄のデスクに伝って立ち上がった。

デスクの引き出しがちょうど愛男の目の高さにあった。

愛男は無意識に、いや何かに導かれるようにその引き出しに手をかけてかと思うと、懇親の力を込めて、引き出しを開けた。

「ばぶぅううううううーーーーー!!!」

 そこにあったもの。

 なんと可愛い。後に愛男が理想とする女神。

 セーラームーン。月野うさぎのプレミアフィギアであった。

 いや、そうじゃない! 

確かにセーラームーンの風貌ではあったが、そのフィギアの顔は月野うさぎでなく……

 紛れもなく、絶倫子であった!!!!

 後に、愛男が異常なまでにもセーラームーンとママにその愛情を示すのは、この時の影響が大きいと専門家は指摘する。


 

 ついつい、うとうと寝入ってしまったことに気付いて目を開けた絶倫子は、ベビーベッドに愛男の姿が無いことに慌て絶叫した。

 家政婦を全員呼び集め捲くし立てた。

「なにをしていたのよ! あんた達! はやく探しなさい! 万一にでも愛男ちゃんに何かあったら、あんた達全員死刑だわ!!!」

 壮絶な絶叫の叫びであった。

 

「これはきっと誘拐だわ! 警察に早く連絡を~~~」

 県警に誘拐捜査本部が設けられた。

 人質の安否を案じてマスコミには情報規制が敷かれた。


 連絡を受けた夫の種薄は、アメリカの知人の紹介で、誘拐事件の交渉に実績のある交渉人を雇った。

「金に糸目はつけん! 何がなんでも愛男を救い出すのだ!」


 内閣府とも親密なパイプを持つ種薄は、もしかしたら北側の拉致か、そうでなければISのテロ関連の可能性も否定出来ないのではないかと、極秘裏に政府に喰ってかかった。

 国家予算の三割に近い闇献金を受けてる内閣府としては無視するわけにもいかず、内閣府に極秘裏に緊急対策委員会が設けられた。

 当然ながらマスコミに察知されることなく時は流れた。


 極秘裏に国連にもそれとなく探りを入れて、北側にはパチンコ利益の流失を黙認。ISには豚肉は当分食べません。と、いう念書を入れて情報の開示を求めた結果、どこもそれらしい動きの情報はなかった。


 無常な時間は容赦なく過ぎていった。

 種薄は、もはや表のルートでは埒があかないと意を決して、シチリア島のマフィアのドンに連絡を取った。

 しかし、ドンの意外な言葉に救われたのだった。


「君のベビーは大丈夫さ。この世に俺たちに牙を向ける者はいない」

 

 その時だった。

「ばぶぅ~ ママぁああああ」

「おーーーーーっ息子よ!」


 セーラームーンフィギアを胸に抱いてドアを掴み凛々しく立つ息子の姿があった。


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