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陸でなし  作者: 彩丸
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 裏野ハイツ。

 そんな名前で親しまれている心霊スポットが有った。

 浦乃ハイツが本来の名前で六部屋中五部屋が埋まっている程度には家屋らしい機能を果たしていた。不動産屋の物件リストにも堂々と掲載されている。立地にしても住宅街の一角に位置し、徒歩十分で駅やコンビニ、郵便局に行ける程には恵まれていた。強いて挙げれば木造である事と築年数が三十年以上である事だけが不安要素ではあったが、それでも家賃五万円以下という点と間取りの広さを考えれば目を瞑るには十分だった。

 夏祭りの日の夜更け、浦之ハイツの202号室の窓の向こうに首が異様に細い男が立ってじっと外を見ている。

 そんな内容の書き込みがネットを震わせたのは実に最近の、五年程前の話だったと思う。当時オカルト系のまとめサイトを漁っていた俺には実にタイムリーで、そして食指が動くには十分なネタだった。

 目撃談多数、実害報告無し。ネットにアップロードされた写真に人影はないものの、まるでその部屋だけが何十年も蛻の殻で放置され続けた様に物寂しく散らかっていた。目撃情報の出た時間帯に現場の部屋に踏み入った人は流石にいないようだったが、それが却ってそそった。

 何よりも、浦之ハイツは当時俺が住んでいた場所からそう遠くなかった。

 大学に入ったばかりの俺にはそれが酷く甘美で。夏休みの思い出作りのネタとしては丁度良い様に思えて仕方がなかった。

 ただ、それだけだったんだ。


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