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女将軍  作者: 孫朴 歩啓
8/16

新訳 本能寺の変 終幕

 翌日、堺にて。会合衆(えごうしゅう)により徳川家康(とくがわいえやす)のもとに、本能寺(ほんのうじ)の一件が伝えられた。

服部(はっとり)をここへ」

「すでに」

 家康が呼び掛けると、どこからともなく黒装束の男が現れた。

「すぐに三河(みかわ)へ戻るぞ」

伊賀(いが)越えの準備は整っております」

「さすがじゃ。では、行くぞ」

「御意」


 そのころ。羽柴秀吉(はしばひでよし)の陣にて。

「羽柴殿は、なにを読んでおられるのですか」

「おねからの手紙じゃ」

「戦場にいる亭主を心配なされているのですね」

「まったく。ワシにはもったいないくらいじゃ」

 そのとき、あわただしく兵が入ってくる。

「なにごとだ」

毛利(もうり)家の伝令をとらえました」

「書状は持っておるか」

「もっていました」

「それを渡して、下がれ」

「は」

「こ、これは……」

「何が書いてあるのですか?」

上様(うえさま)が……明智(あけち)……討たれ……」

織田(おだ)様が討たれたのですか!?」

「そう……じゃ……」

「これは……好機ですぞ!」

「じゃが、毛利が……」

「私にお任せください。すぐに和睦をまとめてまいります」

「うむ……頼むぞ……官兵衛(かんべえ)

「今すぐに」

 秀吉は官兵衛に交渉を任せると、顔をほころばせた。

「しかし、明智殿も人が悪い」

 秀吉はその白紙の書状を燃やした。


 十日後。中国大返しを成功させた秀吉と光秀の軍は、山崎(やまざき)の地にて激突した。


 そして、光秀の軍は敗退。

 今は拙と共に林の中にいる。ここで家康の救援と落ち合う算段だからである。


 と、そこへ三人の忍が現れた。彼らは服部(はっとり)半蔵(はんぞう)の部下たちだ。

「明智様ですね?」

「左様」

「半蔵様の命を受け、助けにまいりました」

「恩に着る」

「では、着物をお着替えください」

 着替えと聞いて、光秀が困惑している。

「あなたは、ここで落ち武者狩りにあったことにしますので」

「わかった」

 光秀が着替え終えると、忍の一人がその着物をもって言った。

「では、隊長あとは頼みます。」

 そういうと、その忍はどこかへ行ってしまった。

「では明智様、これよりは天海(てんかい)とお名乗りください」

「天海?」

「明智光秀はここで死んだのです。そういう筋書きです、天海様」

「……わかった」


 かくして、本能寺の変は終結したのであった。

本能寺の変 完結。

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