関ケ原へ向けて 女将軍編
本編最終話。
秀吉の死後。
三成と家康を中心として対立が広がっていた。
大坂城では、女性たちによる会議が行われていた。
「あやつは絶対に天下を狙っておるな」
「徳川殿ですか?」
「そうじゃ。どうにかしなくてはならん」
「そうですね、どうにかしなくては……」
二人は少し考えたのちに、顔を見合わせる。
「隠居させるしか」
「ないですね」
二人の結論が出たようだ。
「さあ、私に知恵を貸しなさい。怜門」
その姿にあの方の面影を感じた。淀殿はますます母君に似てきたようだ。
「かしこまりました」
こうして、二人と拙の天下取り計画は始まった。
北政所様は、
かつての知り合いのもとを訪れ、策を授け。
淀殿とは表向きの対立を装い。
大坂城を出て、動きやすくなると、かつての子供たちのもとを訪れていった。
そして、淀殿は大蔵局、大野治長らと協力し、大坂城を仕切っていた。
慶長五年(一六〇〇年)九月一四日。
関ケ原の戦いは、わずか半日で終わった。
九州で兵を集めていた、黒田如水も決着がつくや降伏。
東北の伊達も降伏。
かくして、二度目の天下統一がなされた。
「徳川殿」
捕らえられた家康。その横には捕らえられていない天海が、向かいには淀殿。
「…………」
「ご協力感謝します」
「なんじゃと?」
家康は無言を貫こうとしたようだが、感謝の言葉に思わず反応してしまう。
「あなたは利用されていたのですよ。ねえ、明智様?」
「拙僧は天海です」
「そうでしたね」
その二人の会話だけで家康は状況を理解したようだ。
「隠居なさい。徳川殿」
「…………」
「もう、豊臣家に逆らわないことです」
「……御意…………」
かくして、真の豊臣政権が確立された。
実権を握ったのは、秀頼ではなく女たちであるが。
約十年後。
家康は死に、豊臣秀頼は大坂に幕府を開いた。
拙もそろそろ天に召されるとしよう。
次回、エピローグ。