関ケ原の戦い
ついに開戦。
慶長五年(一六〇〇年)。上杉討伐に向かった徳川軍は、石田方の動きを聞きつけ、途中で大坂へ戻ることとなった。
徳川方は、伊達に協力を仰ぎ、本隊を二つに分け進軍を開始した。
慶長五年(一六〇〇年)九月中旬。
東北では、上杉と伊達が激しい戦闘を繰り広げていた。
そして、徳川本隊の半分を率いていた徳川秀忠は、上田城で真田軍と交戦していた。
同刻。徳川の本陣でも、作戦会議が行われていた。
「小早川殿と田中殿の様子はどうであったか」
そう切り出したのは、東軍の総大将・徳川家康、その人である。
「は。小早川殿の率いる軍は、予定通り松尾山城へ移動」
「田中殿も裏切りの偽装はうまくいったと」
二人の意見を聞くと、家康は満足げに頷いた。
「うむ。さすが、黒田殿じゃの」
「夜襲を封じる策も、用意しております」
「さすがじゃの。あとは、三成が関ケ原へ軍を動かせば、すべて作戦通りじゃの」
「そちらも、問題はないと思われまする」
「うむ。楽しみじゃの」
関ケ原での戦いは夜明けに始まった。
戦いは一進一退の攻防を繰り返していた。
しかし、家康は必要以上に焦っていた。小早川が裏切らないのである。
昼過ぎ。徳川本陣にて。
「小早川が動かぬのぅ」
「小早川の陣に大砲を撃つのです」
「なんじゃと」
「彼の性格からして、それで動くでしょう」
「……わかった」
天海に言われるままに、家康は命を下す。
「小早川の陣に向け。放てぃ!」
同刻。小早川の陣にて。
「殿! 徳川の陣から砲撃が!!」
「…………」
「殿!」
「進軍じゃ!」
「進軍!?」
「徳川の本陣に向けて、進軍じゃ!」
再び、徳川の本陣にて。
慌てた様子で伝令兵がやってきた。
「大変です!」
「なんじゃ」
「小早川殿がこちらに向かって進軍してきました!」
「なんじゃと」
また一人。
「報告! 長宗我部軍と毛利軍が動き出しました」
「動かぬはずでは……!!」
また一人。
「福島殿、加藤殿、離反」
「なんじゃと」
伝令兵はやってきた。
「黒田殿、裏切り」
「池田殿、離反」
「な、なにが起こって……」
「藤堂殿、細川殿、浅野殿、裏切り」
怒涛の如き裏切りの連続。
「降伏なされよ。家康殿」
天海のその一言で家康は降伏を決めた。
かくして、関ケ原の戦いは終結した。
次回、黒幕が明らかに