表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女将軍  作者: 孫朴 歩啓
10/16

秀吉の天下統一事業

豊臣(羽柴)秀吉が、本能寺の変の後の人生を振り返ります。

 本能寺(ほんのうじ)の変の後、ワシの行動は早かった。


 清州城(きよすじょう)にて、後継者と領土の再分配を決定する会議が行われた。

 集まったのは、ワシを含め四人。


 柴田勝家(しばたかついえ)殿

 丹羽長秀(にわながひで)殿

 池田恒興(いけだつねおき)殿


 滝川一益(たぎがわかずます)殿は、先の関東での失態によりおかえり願った。


 といっても、予め決まっていたことを確認したまでじゃが。


 しかし翌年。柴田殿が反旗を翻した。

 ワシは、これを賤ヶ(しずがたけ)で破った。

 お市の方様を救えなかったことが、心残りじゃったが……。


 その後。ワシはある方の進言により大阪に城を建てた。


 さらに翌年。

 織田信雄(のぶかつ)殿と徳川家康(とくがわいえやす)殿と戦い、勝利。

 一年かかったのは想定外じゃったが、さすがは徳川殿といったところか。


 そして数年をかけ、

 四国の長宗我部(ちょうそかべ)、九州の島津(しまづ)、関東の北条(ほうじょう)を制圧。

 さらに、奥州の伊達(だて)が降伏。他の従わぬ大名たちも力でねじ伏せ。

 天正一八年(一五九〇年)。ワシは天下統一を果たした。



 ここまで、皆に助けられてきたのぅ。

 皆に感謝を伝えなければのぅ。


官兵衛(かんべえ)。おぬしには世話になったのぅ」

「ありがたきお言葉」

「ワシに何かあったら、豊臣(とよとみ)家を守ってくれ」

「わかりました」


「おね。迷惑をかけたのぅ」

「妾はあなた様と夫婦になれて、幸せでしたよ」

「そうか……そうじゃのぅ」


三成(みつなり)。そちには苦労ばかりかけたのぅ」

「それが、仕事ですから」

「これからも、豊臣家を頼む」

「御意」


「徳川殿。頼りにしてますぞ」

「この命尽きるまで、豊臣家に仕えましょう」

「頼もしいのぅ」


利休(りきゅう)。おぬしにも世話になったのぅ」

「こちらこそ、信長(のぶなが)公を討ったのち、あなた様にはお世話になりました」

「利休?」

「おっと、年を取ると口が軽くなって仕方ない」

「……そうじゃのぅ」



 次の目的地は……明? なるほど、それはよいのぅ。偵察? そんなことなぞせんでも、容易く落ちよう。ワシは天下人じゃぞ。もう、サルではないのじゃ。


 しかし、一度目の遠征は失敗。


 ワシは間違ってなぞおらぬ。部下たちが使えなかったのじゃ。

 敗軍の将たちを処分し、二度目の遠征を決行。


 じゃが、結果が出るよりも先にワシの寿命が尽きそうじゃ……。ワシの判断は間違っておったのかのぉ。あの時、……の……。



 皆、秀頼(ひでより)をワシの……いや、豊臣の子を頼む、ぞ……。




 信長の死後。協力するはずだったのに、お互いに争い合って天下を取ったのは秀吉。その過程であの方を死なせてしまうとは、拙の考えが甘かったことを痛感させられた。

 今、拙はあの方の最後の願いに従って、あの方の長女に付き従っている。秀吉の側室だが、あの方の娘だ。私情を捨てて仕えよう。今はただ。

次回。秀吉の死後、天下はどうなるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ