プロローグ
IF歴史のストーリーを思いついて、教科書や図書館などで資料をあさり作製したものです。
ただし、自分は歴史はあまり詳しくはないので、不備や誤記、矛盾などがある場合があります。あらかじめ、ご承知ください。性格なども史実とは異なると思います。
慶長五年(一六〇〇年)九月中旬。杭瀬川で島左近達、西軍が大勝をした日の夕刻。
西軍・島津の陣でも、作戦会議が行われていた。
「殿。やはり、今日のうちに夜襲を仕掛けるべきです」
顔に傷のある男がそういうと、周りの武将たちも頷きあう。
「……そうじゃのぅ。進言してみるかのぅ」
殿と呼ばれる人物ーー島津義弘も、その意見には納得しているようだった。
しかし、一人の若い男が声を荒げ、立ち上がった。
「お待ちください!」
武将たちが戸惑いを見せる中、義弘だけは表情を変えなかった。
「申してみよ」
「夜襲など鬼島津には似合いませぬ。さらに、兵力の差を考えれば必要ないかと」
しばしの沈黙ののち、
「それもそうじゃのぅ。ここで動くは得策ではないか」
「「殿!!」」
「皆の者。明日に備え、今日はもう休め」
義弘は何かを言いたそうな武将たちを一括する。
「それでは、ワシは本陣の軍議に参加してくるとしよう」
武将たちが沈黙したことを確認すると、義弘は陣を出て行った。
その後。石田の陣にて西軍全体の作戦会議が行われた。
「本陣を関ケ原へ移そうと思う。何か、意見のあるものはいるか?」
「では一つ」
会議を仕切る三成の問いに対し、一人の優男が手を上げる。
「夜襲を仕掛けてみてはいかがでしょうか?」
「その必要はないと思います」
その意見を飄々とした男が否定する。
「なぜですかな。小早川殿」
否定された男は、否定した男へと向き直る。
「そのような姑息な手段で勝利しても、我らの正義は示すことは出来ないでしょう」
男ーー小早川秀秋は三成のほうを向いて答えた。
「確かに。その通りだ」
三成が納得しては男がそれ以上何かを言うことは出来なかった。
「では、夜の間に陣を移動する。皆の者、そうそうに準備にかかれ」
大阪城では、
「そうか。やはり、男どもは単純すぎる。のう、秀頼」
全てを仕組んだ女性が、傍らにいる童に話しかける。
「そうなのですか、母上?」
童は母を見上げ、首を傾げる。
「まだ、理解はできぬか」
女性は遠い目をして城下を眺めていた。
景色しか彼女の目には映っていないのだろう。
「天下は、男どもには任せておけぬな」
それはのちに関ケ原の戦いと呼ばれる戦いが起こる前日だった。