彼女と彼の思い
「色子って、外出できたりするのね。」
食事中に雛菊が放った一言に、蝶子と柊生は箸を止めた。
「今日ね、見たのよ。着飾った色子と、お金持ちそうな男の人が一緒に歩いてる所を。あれって、色子よね?」
「そりゃ初耳だ。そんな事出来たりすんのか」
「あら、あなたは知っていると思ってたのに。そんなに広く知られてはいないのかしら。」
「…そうなのかもなぁ」
静かに二人の会話を聞きながら、蝶子はある事を考えていた。
「御一つ訊きたい事があります」
店に来るなり、蝶子は真剣な表情を東に見せた。
「ん、何?」
「あの…色子って、外出できたりするんですか?」
蝶子の問いに、東は笑った。
「真剣な顔してるから何かと思ったら、そんな事か。うん、出来るよ。まあ、お金次第だけどね。それに、その倍以上だけど、金さえあれば気に入った色子を買うことも出来るんだよ」
「そうんなんですか」
「でも実際、その金が大金も大金過ぎて、中々色子を買うって人はいないんだよね。だったら、奴隷を安く買って自分好みにするって人が多いみたい」
「…それも、そうですね」
「あっ、ごめん!蝶子さんの前で、軽率だった…」
「いえ、大丈夫ですよ。もう気にしてませんから。」
「…ありがとう」
蝶子は優しく東を見た。
帰り道、蝶子は考えていた。
(東さんは、外の世界が見たいと仰っていた。…相当な額を積まなければ、東さんの夢を叶えてあげられない。…でも、叶えてあげたい。彼の夢を…。
…何としてでも、東さんを、外の世界に出してあげたい)
決意を固め、前を向いて、家路に急いだ。




