家族の時間
今日は仕事が休みだと、朝からずっと酒をのんびりと飲んでいた。ゆっくりと思考が鈍くなっていく脳に心地よささえ覚える。
雛菊は柊生の隣に座ると、熱燗を持ち酌をした。
「そんなに飲んでたら、また倒れちゃうわよ?」
言いながらも、猪口に酒を注ぐ手は止まらない。一杯になったところで、柊生はくいっと酒を飲んだ。
「まあ、いいじゃねえか。酒断ちしてたんだよ。許せ」
上機嫌な様子で次々と酒を飲んでいく。雛菊も少しだけ貰って、隣同士でのんびりしていた。
ふと、雛菊が少し赤みのある顔を綻ばせた。
「蝶子ちゃん、最近随分明るくなったわねぇ」
「そうだな、東に感謝しねえと」
のんびりと言う柊生に、雛菊は少し頬を膨れて見せた。
「でも…やっぱり蝶子ちゃんの心を開くのは私たちが良かったわね?」
「ああ、まあそんな気持ちもあるが、やっぱり同じくらいの奴らの方が気兼ねねーんだろうよ」
ふう、と息をつきながら言う。雛菊も一つ息を吐いた。
「ああ、若いっていいわねえ」
「おいおい、年取ったような台詞言うんじゃねえよ」
「あら、私たちも随分年よぉ?」
ケラケラと笑う雛菊に、柊生は一つ接吻をした。
「…まあ、たとえ年取ってたとしても、俺はお前が一番綺麗だと思うよ」
「あなたったら、上手なんだから…」
見つめあい、また接吻を交わす。
良い雰囲気になっていた所。
「旦那様、奥様。お取り寄せしていた物が届きました」
蝶子が、風呂敷を両手に二人の後ろに座っていた。
「ちょ、蝶子ちゃん!?」
「あっはっは!お前、相変わらず気配消すの上手いなあ!」
慌てる雛菊に大声で笑う柊生。蝶子はわけがわからない、と言う顔をした後、柊生に風呂敷を差し出した。
「私は、掃除の続きをしてきますね。ごゆっくり」
「おー」
一つ礼をしてそそくさと去っていく蝶子を少し名残惜しそうに見送る雛菊。それに気づいた柊生は苦笑した。
「そんなに蝶子と話してえのか」
「それはそうよ。だって、大好きな娘ですもの」
「あはは。じゃあ飯の時に沢山話せばいいだろ」
「…そうね。そうするわ」
柊生の提案に微笑みながら言う雛菊。二人の時間は、どこまでもゆったりと流れていた。




