表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
配当錬金の設計士 ―利回りで世界を再構築する男―  作者: Tone
第十二章:記録に残るもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/51

第五十話:揺れたまま

制度は動き始めている。


条文は壁に貼られ、

報告書の様式は統一された。


旗は規則通りに振られる。


制度参加区間は整然と進む。


南側第三は、後ろから出る。


遅い。


だが、列は途切れない。


朝、若者が帳簿を開く。


――余白:三割

――緊急対応:六件

――停止:なし

――評価:D


数字は変わらない。


「上がりませんね」


若者が笑う。


「上げるためにやっていない」


俺は答える。


倉庫の火は弱い。


揺れている。


強くすれば、利益は増える。


枠に入れば、優先通行もある。


それでも、三割は残す。


若者が言う。


「もう、聞かなくても決められます」


帳簿に、配分を書き込む。


雨の予報がある日は四割。

晴れが続けば二割に落とす。


急ぎが重なれば断る。


順番は、その日で変わる。


「設計は覚えましたか」


俺は聞く。


若者は首を振る。


「覚えていません」


「選んでいます」


うなずく。


火を見る。


弱い。


揺れている。


それでいい。


昼過ぎ、新商会の代表が来る。


「例外対応、助かっている」


若者は頭を下げる。


「枠があるから動けます」


代表は笑う。


「外があるから、枠が守れる」


言葉は交わらない。


だが、対立もない。


夕刻、街道を見渡す。


制度参加区間は速い。

南側第三は遅い。


それでも、止まらない。


若者が帳簿を閉じる。


「火は、誰のものですか」


最初に聞いた問い。


今は、迷いがない。


「持った者のものだ」


若者はうなずく。


「守る順番は、変わります」


「そうだ」


「変えてもいい」


火が小さく揺れる。


制度は完成に近い。


街道も整っている。


それでも、

揺れる場所は残っている。


俺は一歩、倉庫の奥に下がる。


帳簿は若者の前にある。


区間は若者のものだ。


火は弱い。


揺れている。


消えない。


街道は、今日も止まらない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ