意地悪な婚約者から崖の近くに呼び出されたので嫌な予感がしていたのですが……意外な展開が待っていました!?
私の婚約者ルーティスは意地悪な男性だ。
だからことあるごとに絡んでくる。
遭遇するたび睨んできたり舌打ちしてきたりするし、少しでも言葉を交わす間があれば悪口のようなことを言ってくるし、酷い時には服の裾を意図的に踏んできたりいきなり突き飛ばしてきたりもする。
そんな彼にある日突然自宅から徒歩数分の崖の上に呼び出されて。
「来たみたいだな」
「用事とは……何でしょうか」
「ああ、用事は用事だ、大事なことだ」
「そうですか……」
「今から重要なことを告げることとなる」
嫌な予感がしつつも彼の前に立っていると。
「お前との婚約は破棄とする」
そんな風に宣言された。
「婚約、破棄……」
「そうだ」
「驚きはありません、貴方はずっと私のことを嫌っているようでしたので」
「ああ、それはそうだな、その通りだ」
少し間があって。
「ということは俺の一番やりたいことも知っているな?」
そんなことを言われたと思ったら。
「消えろォッ!!」
突き飛ばされた。
――このままでは海に落ちてしまう!
焦った。
死んでしまう、と。
けれどもその瞬間に奇跡が起こる。
空から宇宙船のようなものが出現。そこから放たれた光に包まれた私の身体は重力に抗うように下から上へと引き上げられて。崖の下へ落ちていくことはなくなった。
何とか生き延びられそう、といった勇気が胸の内に湧いてくる。
「な、何が起こっている!?」
一方そんな私の様子を見て混乱していたルーティスはというと。
「……っ、うわ! うわっ、わ! わわ! うわわ! わっわっわわわっ、うわ! うわわわ! うわっ、っと、うわわわ!」
宇宙船のようなものから放たれる光線に何度も襲われて。
「う、わあああああああああああ!!」
やがて光線に貫かれ、命を落とした。
◆
あれから数百年、私はまだ生きている。
あの時異星人の宇宙船に保護された私は色々あって彼らの国を統べる女神となった。
実際には私は女神ではない。
単なる人間だ。
しかし異星人たちはなぜか私を女神だと信じていた。
彼らは私に『食べた者に永遠の命を与える木の実』を与えてくれた――その結果、私は不死となり、現在に至っている。
私はこれからも異星人たちのために生きていくこととなるだろう。
だがそこに苦はない。
むしろ幸福の方が多くある。
常に丁寧に扱ってもらえるこの暮らしには満足しているから、私は、どれだけ時が流れたとしてもこの暮らしを続けていく自信がある。
◆終わり◆




