表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/387

石じじいの話・引用:ミサキ関連の話

じじいの田舎に言い伝えられられていた魔物「ミサキ」についての話です。

現在広く知られているような「七人の亡者が人に取り憑いて呪い殺し、一人ずつ順番に成仏していく」という「理屈の通った」話ではなかったようです。

また、「七人の僧侶を殺して、そのたたりで云々」という話でもなかった。

四辻に魔物が存在するという話は、ほかの地方にも言われていました。

たとえば、節分の日の夜に、豆を自分の歳の数だけちり紙につつんで四辻に持っていって捨てる。

そこから帰るときにけっして後ろを振り向いてはならない:という風習です。

私の子供の頃にも、そのような風習がありました。

中学生になるころには廃れていましたけど。


[本文、一部の改行について改変しました。]

初出:

【新】海・山にまつわる怖い話・不思議な話 1

http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1502541708/


657 :本当にあった怖い名無し:2018/06/09(土) 17:35:08.44 ID:XdB9zOHY0.net

石じじいの話です。


人にとり憑き禍をなす悪霊として「ミサキ」というものがあります。

じじいの故郷の近くの土佐などでは「七人ミサキ」という話がありました。

名前は、今では全国でも知られているでしょう。

じじいがミサキについて私に語ってくれたことや、私の祖父母が語ってくれたことを書いてみましょう。


この死霊は、非業の死をとげた人が成仏できずにさまよっているものらしいのです。

水死者、焼死者、自殺者、行き倒れの霊。

地方によって違いがありますが、ミサキには海の沖や磯、川で出会うことが多く、水と縁が深いようです。

これに取り憑かれると、医者にかかるのは二の次で、呪禁によりとり払うとか。

送り念仏、神職による祓い、僧侶による祈祷などで落とし、その後に医者にかかります。

結局、医者の手当を受けることは外せない、ということが現代的です。

巫女によって、そのとり憑いたミサキの無念を語らせることもあったそうです。

ミサキは、夕方暗くなった時に海の近くの山を歩いていると、とり憑いて海へ誘い込むのだそうです。

犬の鳴き声がすると、それに憑かれたことに気がつくとか。



658 :本当にあった怖い名無し:2018/06/09(土) 17:35:26.96 ID:XdB9zOHY0.net

ミサキのためには、お盆に軒下に芭蕉の葉っぱを置いて、その上に「おしょらいだな」でお供えするものと同じものをお供えするのだそうです。

また、あるところでは、寺の近くの丘の東南の斜面にある墓地の端に、墓石ではない自然石を積んで塚とし、ミサキを祀っていたそうです。

「七人ミサキ」とは、山に狩りにいった七人の狩人が遭難して死んだのを弔うためのものだったという話もあったそうです。七人塚とも言った。

その時に、犬が七匹同時に死んだそうです。

また、昔、殿様の鷹狩のさいに、無礼があったとして七人の村人が殺害されましたが、

そうしてむごたらしい殺されかたをした人は成仏できず、人を道づれに殺すのだそうです。

そうすることで成仏できるのだそうです。七人の6倍、42人殺すのだとか。

この言い伝えがある地方には、「七霊の合祀」という碑が建っているそうです。


『昔はな、お遍路さんの行き倒れもようけあったんで。健康な人ばっかりやなかったけんね。死に場所を探して歩きよった人もおんさったようよ。わしが子供の頃も、行き倒れた人が何人もおってな、村でお葬式したもんよ』



659 :本当にあった怖い名無し:2018/06/09(土) 17:36:56.83 ID:XdB9zOHY0.net

石じじいの話です。


じじいのふるさと(=私のふるさと)には、ミサキという悪霊の他に、

「ドウロクジン」、「ホウカイ様」という存在があります。これらも無縁仏です。

「ミサキ」と同じ存在ですね。

『おやじらがな、道の四辻で「道の端のドウロクジン」いうて唱えよったい。

 それなに?いうてきいたら、行き倒れのお遍路さんのことよ、いうて教えてくれたい』

ドウロクジンは、無縁仏で、家に帰れない人、帰っても誰も祀ってくれない人の霊が道の四辻に、うろうろしているものなのだそうです。

四辻には、おにぎりなどの食べ物を供えます。これは、その霊が餓鬼である、という認識があったからだと。

四辻におにぎりが供えてあっても絶対にとってはいけない::というのが親からの言いつけだったそうです。

太平洋戦争はるか以前の話ですからね。

「ホウカイ様」も同じような存在です。うら盆に焚く松明をホウカイと呼んでいました。


葬式の帰りは、悪霊が家についてくる危険性のある時だったそうです。

「七人ミサキがついちょるかもしれん」といって、からだを箕で扇いでもらうことがあったそうです。

また、外で具合が悪くなって帰って家に入る時に、その直前に、おなじように箕で扇いでもらう風習もありました。

これは七人ミサキがいる四辻を通ったから、それにとり憑かれたのだ:ということでした。


『犬神はとり憑くわ、ミサキは来るわ、ホウカイ様は四辻に待ち伏せしとるわ、油断できんかったで。昔わな。戦争があって、みんなおらんなったなw』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ