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風よけを作って安眠を!

「早速シェルターを作りたいんだけど......」


 古書には何種類かシェルターの作り方が紹介されているが、それも制作に斧や木を固定するための紐が必要だった。

 紐は蔦で代用できるらしいから、そこら辺の木に巻き付いているのを使えばいいけど、斧は残念ながら持ってない。


「シェルターを作る為の道具から作らないといけないのね......でも斧って鉄が必要よね? 今の私たちじゃ......」


「いや、古書には石と木を使った斧の作り方が紹介されてるから、取り合えずこれを作ってみようと思う」


 斧にも何種類か作り方があるらしいけど、今回は一番強度がある方法で作ってみることにした。


 まずは斧に使う石を探す。

 手のひらほどの大きさである程度の長さと薄さがある楕円形が良いと書かれていた。森の中を探し回っても条件に合う石がなく半ば諦めていたけど、ファティアが川底に沢山石があるのを発見したことで無事に条件に合う石を見つけられた。


 いちおう岩と岩をぶつけて、手ごろな大きさの石を作り出す方法も載ってたけど、石をぶつけても上手く割れなかったので、やめた。


 なんか斧に向いている石の種類? ってのもあるらしいけど......また時間をかけて面倒くさいからこの石で斧作りを始める。


「これを削るの?」


「そうらしいけど、どこまで削れば良いんだろう? ナイフの刃みたいに鋭くするんだったら、結構骨が折れるけど......」


 幸いなことに、ナイフの刃みたいに鋭く削る必要はないらしいが、石の先が鋭利であればあるほど、木の伐採にかかる時間は短くなるらしい。

 

「こうやって石に擦り付けて、削っていくらしいけど......めっちゃ時間かかる」


「その調子じゃ数日間かかるわよ。斧を使わないで作れるシェルターはないの?」


「まぁ斧が必要なのってシェルターに使う木を採集するためだから、都合よく良い感じの木が地面に転がっていれば済む話なんだけど......」


 そんな幸運が訪れる訳ないので......


「斧を使わないって話なら、この石と粘土を重ね合わせて壁を作るっていう方法はあるけど......こっちはこっちで大変そう」


「確かに石がかなり必要になるし、粘土質の土も見つけられてないから、この壁を作るのは厳しそうね......」


 となると、やはり斧を作って木を伐採するしか......


「ねぇこの簡易テントっていうのは?」


 住居を作る章ではなく、狩猟の章で簡易テントなる物が紹介されている。

 作り方はシェルターに似ているけど、使う材料は木の枝で十分らしく態々斧を使う必要がなさそうだった。

 説明によれば、シェルターよりも強度が足りないため、長く留まる場合は簡易テントはお勧めできないらしい。


「それで、肝心の作り方は?」


 材料が簡単に手に入る物であったとしても、作り方が難解であれば意味がないけど......まぁ簡易キャンプっていう響きから予想はしてたけど、かなりシンプルな作りで木の枝で作った板に草と泥を重ねるだけだった。


挿絵(By みてみん)


 大きさはシェルターより小さそうだけど、何もないよりはましだ。


「日没まではまだ時間ありそうだし、今から作ってみるか」


 まずは枝集め。

 枝の長さは私の腕よりも長い方が良い。極力曲がってない枝を使った方が良いらしいけど、曲がっていたとしても然程問題はないとのことなので、待っていたりYの字になっている物でも積極的に拾っていく。


「結構な量集めた割には、時間かかってないわね」


「まぁ木の枝は大量に落ちてるからね」


 次にツタを使って、梯子みたいに枝を組み合わせていく。

 

 この作業が大変で、ツタの強度があまりないせいか結んでいる最中にプツプツと切れてしまう。


「あんまり力を入れないほうが良いわよ、ほらこんな風に縛るの」


 ツタを結ぶ作業は私よりもファティアの方が得意そうだったので、ここはファティアに任せて私は葉っぱを集める。


「どう終わった?」


「これを縛れば終わり......はい終わった」


 落ち葉拾いから帰ってきた頃には、ツタを結ぶ作業が終わりを迎えていた。

 早速ファティアが作った木の枝の板を木に立て掛けたら、その上に落ち葉を広げる。少し拾いすぎたのか落ち葉が余ってしまったので、これは暖をとる時に有効利用しよう。


「で、この上に土を乗せるのよね?」


「土、というより泥かな?」


 古書には土を湿らせて固めると書いてある。

 私とファティアは葉っぱの上に、濡らした土をペタペタと張り付けるように乗せる。ちゃんと載せないとずり落ちる可能性があるらしいので、ここは手を抜かずに慎重に......


「できた!」


「うーん、想像していたよりも小さかったな」


 本当は、屈めば体が全部隠れる大きさにしたかったんだけど、この大きさじゃ足とか頭とかがはみ出してしまう。

 体全体で風を受けるよりはマシだけど......


「まぁこれを沢山作って大きくすれば良いでしょ」


 とファティアに言われたので今日のところは我慢して寝るとするか。


 どうか今日こそは凍えずに眠れますように。

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