帰還
「うっ..... どうなったの?」
意識を失っていたようだ。たしか、頭の中に魔法名が浮かんできて発動したところから記憶が曖昧だ。
あたり暗い洞窟だ。
「レイナ!! レイナはどこに?」
私から少し離れたところで横たわっているレイナを発見する。
「よかった無事で。 傷が治ってる!!」
なぜか傷が治っている。エレボスに斬られてもう助からないと思うほどの重症だったのに。
なんで?理由は分からないが、レイナが生きている。今はそれだけでいい。
レイナの安否を確認して、エレボスのいた場所に目を向ける。
最後に感謝された気がするのは私の気のせいだろうか?すると頭の中に声が響いてきた。
【称号スキル・闇を解放せし者】を獲得しました。
【???スキル・追憶魔法】を一部開放を確認しました。
【表示】が私たちの勝利を宣言する。
(私が使った魔法は追憶魔法なんだ)
光の跡には、綺麗な黒い宝石が一つ残っていた。
それを拾って、鑑定する。
【女神の欠片 黒】
【五大迷宮の守護者】エレボスの魔力の結晶。
敵の消滅とアイテムの安全を確かめた私は、緊張が解けて大きく息を吐きながらレイナのほうへと向かっていく。
いまだ目を覚まさないレイナを自分の膝の上に頭をおいて、膝枕をする。
レイナの髪はサラサラだ。治癒魔法をいちおうかけたが、命に別状はなかった。『HP』の表示を見る限り大丈夫そうだが。さっきまで死にかけていたので。レイナの周りには、血だまりがいくつもできていた。普通に考えれば、息をしているのがおかしい。
すぐにちゃんとした治療を受けさせたいけど、私も身体がボロボロだ。
そういえば、リンネさんとシズさんはどうしたのかな?元Sランクと元Aランクだから死ぬことはないよね。
ずっとこのまま居座るのは危険だ。ここは迷宮だ。いつ魔物が来るかわからない。
持ち物をすべて【アイテムボックス】に入れ、レイナを持ち上げる。
対格差があり、持ち方は異様だが我慢してもらいたい。でも、異様に軽い。まるで、失った血液が、レイナの中身をすべて抜いていったかのような気さえしてくる。
「.....レイナ、ごめんね」
抱きかかえた私は、いまだ眠り続けるレイナに謝り続けた。
「安心して眠って、ここから絶対に出るから」
それを言った私は、レイナの顔が安心しているのがわかった。
ここが何階層なのかわからない。ここに来るまで無我夢中だった。
迷宮の外まで、私は油断なく、来た道を戻り始める。
私の状態は悪い。
それがどうした。
ここで私が意識を失えば、今までの苦労が水の泡になる。
その途中も、レイナはうわ言を繰り返し続けた。
その言葉は、ひどく私の耳に残った。それほどまでに、そのうわ言には感情がこもっており、いままでの行いがすべて報われたかのように思えた。
「ありがとう..... アル」
いまだ眠るレイナをしっかりと抱え、大切な友達を触れる肌を通して感じる。
「私のセリフだよ」
すこしだけレイナの表情が変わった気がした。
絶対に死なせないからね。
足に力を籠め、迷宮の出口に向けて足を動かし続けた。
そして、迷宮の出口につき、地上へと帰還した。そこで、私の意識を失った。
■ ■ ■ ■ ■




