お出かけ
「アルちゃん、起きてぇぇ~」
すごい勢いで被っている、布団を剥がされる。
「えっ!? なに?」
寝起きで今を起きていることについて、頭があまり回らなかったが、部屋に誰か入ってくる予感を感じたので無意識に【偽装】を使う事が出来た。
「これから、お出かけするよ!!早く用意して!」
「う、うん」
出かける用意をする、ボロボロの防具は【心象魔法】で少し直した。
リースちゃん、私いちおうお客様だから部屋に勝手に入るのはどうかと思うよ...
◇ ◇ ◇
言われるがままに、迷宮に潜る用意をして女将さんの朝ご飯を食べて、リースと二人ででる。
「午後から、迷宮に潜るんだけど、リースちゃん」
そんなのはわかっているような顔をしながら、顔を膨らませて反論してくる。
「わかってるよ! でも最近宿屋に戻って来る時間も遅いし、構ってくれないもん!!」
なんとも子供らしい、午後までは暇だし息抜きがてらいいよね。
「わかったよ、一緒に買い物しよ!リースちゃ......ん」
ばしゃーん!!
リースの頭上から盛大に水を被る、上で花の水やりをしている女性が顔を真っ青にしながら謝って来る。
それに、リースちゃんは笑顔で大丈夫と言っている、さっきは子供だと思ったけど撤回しよう大人の対応だ。心配するより先に考えるアルテラ。
リースは出来る範囲で水気を抜こうと必死だ。先程から腰回りの布を根気よく絞っているが、その度にへそがちらちらと見えている。
ロリコンには刺激が強く、眼に毒だ。
お出かけするためか気合の入った服が、たっぷりの水を含み、ぴったりとリースの身体に張り付いている。私ほどではないが、その年にしての成長がいい方なので、明らかに女性的な身体のラインがわかってしまう。
慎ましいが、確かに胸の膨らみがある。ちらちらと通行人が見ている、
「リースちゃん、早くこれ来て」
【アイテムボックス】から上着を出し、リースにかけようとする。
「大丈夫だよ、これくらいすぐに乾くよ」
さして気にしてないように笑顔で胸を張って言った。
「だめ!風邪を引いちゃうよ!」
「大丈夫なのに」
「そのままだと、身体に服が張り付いちゃうから...」
「えっ、張り、付く...?」
リースは言われて初めて気づいたようだ。
自分の状態を冷静に確認して顔を赤くして、上着を受け取る。
「そ、そうだね、風邪ひくと手伝いが出来なくなるから困るもんね」
リースは上着を纏って、私の隣に顔をすこし赤くして歩く。
こっそり【心象魔法】で服を乾燥させおく。少しずつ
空気を変えるために、話題を振る。
「ね、リースちゃん、あそこに露店が集まっているからいこ!私来たばかりだから色々と教えてね」
「うん、何でも聞いてね!早くいこ!」
手を引っ張られて集まっている露店の方に向かう。
出かけるとき、レイナからここの事も聞いた。ここは迷宮のアイテムや販売が自由の区域でいろいろな駆け出しの人が出品して、格安に買える物もあるらしい。
私には【鑑定】があるから、ぼったくられることもなく、安心して買い物ができる。
「わかったから、ちょっと引っ張らないで」
嬉しそうに露店を見て回るリースを、微笑ましく見る
楽しそうに「アルちゃんにはこれが似合うかも!」といろいろの物を勧めて買おうとする。それを私は【鑑定】しながら商品の評価をしていく。露店は格安だが、品質はどれもおちている物が多い。
でも、楽しく買い物をするのもいい。
私たちは当り障りのない話をしながらショッピングをするさっきまでの雰囲気は感じられない。
武器と違って気軽に物を見ることが出来るし楽しい、【鑑定】はやっぱ便利だね。リースと別々に行動してしまうこともあった。
「うーん、なんかないかなあ」
「さっきから真剣な顔してなにしてるの?」
【鑑定】を持っていることを知らないリースは不思議そうにこちらを見ている。
「価値がありそうなもの探してるんだよ」
「へー物知りなんだねー」
なぜか目をキラキラさせて私を見る。しかし、これは【鑑定】のおかげでできるだけで、自分の力じゃあない。純粋なリースちゃんをだましているようで、気が引けるな
ままならない罪悪感に包まれる。話題を変えるためになにかいいものがないか、目をせわしなく動かす。
「あっちに、いいのがありそうだよ」
そこにあった物の品を見てみる。
【蓮の髪飾り】
『レア度』A
神聖な魔力が宿っている。
聖の力が宿った装飾品。
神聖の魔力があるアイテムだ。
他の露店を見て回ったが他とは比べ物にならないくらいの品質なので、迷わず店主に話しかける。
「すいません、これ買います」
「いらっしゃい。嬢ちゃんお目が高いね、本当は20万マリスだがかわいいお客さんだから10万マリスにまけるよ!」
すぐさま、お金を取り出して、商品と交換する。
値段以上の価値があるものを手に入れたような感覚だね、前の世界と同じで蓮の花の形は同じらしく、とてもきれいで、顔から笑みが零れ落ちる。
「わぁー。綺麗な髪飾りだね」
「うん、価値は10万マリス以上なのは間違いないよ」
「そうなんだ、私はさっぱりわからないよ」
「いいものを買ったよ」
「アルちゃんに、絶対に似合うね」
リースは勘違いをしている、アルテラがつけるために買ったわけではない。
「違うよ、これはリースちゃんにプレゼントだよ」
価値が高いから買った理由もあるけど、買い物に連れて行ってくれたお礼もかねている、【蓮の髪飾り】を差し出す。
「えっ、いいの?高いのに…」
「リースちゃんはかわいいから、髪飾りをつければとても似合うよ」
「アルちゃんの方が似合うから、絶対に!!」
「そっか...せっかく買ったのに...リースちゃんのために」
わざとらしく残念がる。
それを見たリースはわたわたと焦りだし、どこか諦めたかのようにこちらをみる。
「わかったよ、大切にするね!」
「うん、こっちにきてつけてあげるから」
リースの髪へと手を伸ばして、【蓮の髪飾り】を付ける。うんうんと頷く。
「変じゃないかな?」
「似合ってるよ」
「ありがとう」
満面に笑顔でお礼を言ってくる。こちらがあげてよかったと心の底から思った。神聖な魔力が宿っていると鑑定で出ていたがなんだか尊く感じる。蓮の花言葉の清らかな心にとてもあっている。
「リースちゃんは何か買わないの?」
「迷ってる、なにがいいかもあまりわからないし」
「なんでもいいと思うよ、趣味のもので欲しいものを買ってもいいんだよ。将来に役立つものとか」
「将来か…なら本がいいかな」
宿屋を継ぐとき、文字の勉強がまだまだらしいから勉強したいらしい。
「じゃあ、本を探そうか。どんなものが好きなの?」
「うーん、恋愛ものがいいかな、あと冒険の英雄の話とか」
リースの好きなジャンルの話をしながら、広場を回っていく。
「ねぇ、なんでアルちゃんは私と年が変わらないのに、危ない迷宮に潜っているの。」
「え、なんでかな、お金を稼ぐためかな」
「それだったら、文字の書けるし、酒場とか他に仕事ができるよ。わざわざ迷宮に行かなくてもいいよね」
「確かにそうだけどね、でもね私は自由に生きるって決めたの、それに迷宮に潜らないといけないんだよ。あと強くなって生きるためかな、なんかうまく説明できないけど。」
『國本彩音の信念』もうあんなことを起こしたくないし、なにかをするためにも力は必要だ。うまく説明できなくて抽象的な受け答えになってしまう。
「そっか、色々あるんだね」
「そっちはどうなの?なんで宿屋を継ぎたいの?」
「それはね、家に泊ってくれる人が笑顔になれるから!」
質問を迷いなく答えられるほど、確かに方針になっている感じ。
こういう人ほど、世界では食い物にされることが多いんだよね。私はお金を稼ぐためだけど、人の幸せを願うリースちゃんはすごいと思う。
「そうなんだ」
元の世界の価値観のためか、そういう事は一度も抱いた感情はない。元の世界では一人であればよかったし、相手の気持ちを汲み取るなんてしなかった。だから、表面的な充足よりも、内側な充足が重視されていた。
それが充実するのに早いのはお金だ。そのためにお金を稼いでいる。でも、今は違うここにきて理解したこともあった。
「人の笑顔を見るとね、胸がポカポカするんだよ、だからね宿屋になりたいの!」
力強い意志をリースから伝わる。
私が思っていたほどに、リースちゃんは子供じゃない、その芯はしっかりしている。目標をしっかり見据えて、ぶれない。
「そっか、すごいね、リースちゃんは...」
「すごくないよ、これがね私にとっての普通なんだよ、だから何かあったら遠慮なく私に相談してね」
なぜか涙が溢れそうになってくる、逃げるように言う。
「ありがとうね、そろそろ迷宮に行かないといけないから、コハクのことよろしくね」
「ちょっとまって、アルちゃん、はいこれプレゼント」
渡されたのは神社のお守りみたいな形をしたものだ
「これはね、お父さんから教えてもらったお守りだよ、大切な人が絶対に戻ってくるように渡すものなんだよ!これから、危ないことするんでしょう?行かないで言えないから、その代わり無事に帰ってきてね」
さっき、我慢した物が溢れようよするが、すぐに顔を引き締め言葉を放つ
「うん、わかった!絶対に帰って来るよ」
それから、リースに手を振って別れる。シズとマーガレットさんの元に足を踏み出した。
◇ ◇ ◇
迷宮の入り口に着き、シズとマーガレットさんの姿を探す。
「おーーい、こっちよ」
声がする方へ顔を向けるとマーガレットさんとシズがいた。
「お待たせしてすいませんでした」
謝罪をする
「大丈夫私も今着いたところだから」
「なにかいいことでもあったのか?」
シズがアルテラの変化に気づいて、質問をしてくる。
「はい!」
「そうか、では迷宮に潜るぞ」
お守りを手に




