表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/38

迷宮探索③

 次元が違う、どう転んでも勝てるビジョンが見えない。

 目の前いるのは、絶望だ。


 硬直状態になっている、体を無理やり動かす。


「レイナッ!逃げな...いと...ど...した...の...?」


 無理あり身体を動かしながら振り返る私の視界に映ったのは、見たことのないレイナ。

 あの、無表情の顔が憎悪に歪めれらていた。どうしてそんな顔ができるのかわからない、何がそうさせているのもわからない。


 それまでの感情が一瞬で消失した。


「レイナッ!?」


 戸惑いに近い声が喉から放たれる。


 レイナは一瞬こちらを向き、違う方向に顔を向け腰にあるバックから何かを取り、投げた。

 最後にもう一回こちらを向き、どこかに走っていった。


「!」


 アルテラは何が起こったか理解できず、呼び留めることも反応することが出来なかった。


(何がおこったの?)


 レイナの投げた物から異臭が突然襲われた。腕で口元を覆い視線を彷徨させる。急に辺りから複数の魔物の雄たけびが響いた。炎帝猿も例外ではない。


「これって、魔物をおびよせるための?」


 この世界のアイテムについては無知に近いが、魔物がいるから呼び寄せるアイテムがあっても、不思議ではない。


 でもどうして、ここに...。


 弾かれたように顔をレイナが去った方向に向ける。けどもう姿は影も形もない。


 最悪の予想が思い浮かんだ、裏切られた…? 何で?  絶対勝てないから?


 さっきの光景が頭を過ぎった。あの表情を見てしまった。


 自分を罵った。


「違うッ!! 裏切る相手にあんな顔をしないだろ!!そうだろッ、今ここで逃げたら絶対に後悔する」


 去り際に、裏切る相手にあんな顔をしないだろう、なにか理由があるはずだ。

 私に見せてくれたあのいくつかの表情も嘘なわけがない。出会った期間は確かに短いがそれがなんだ。長ければいいのか、違うだろ。出会った時間は関係ない。そこに繋がりがあればいい、レイナにとって私は取るに足らない存在だとしてもいい、自分の自己満足でもいい。


 何が、レイナをそうさせたのは私にはわからない。

 でも、私がレイナを救うよ。

 それがエゴの塊だろうが、この世界に二度目の生命せいを受けたんだから自由に生きる。


「私はもうあの時のようになりたくない。ここで逃げたら元の私に後戻りするかもしれない。ここで負けたら信念も何もかも貫くことができなくなるよ。だがら、戦うよ。戦いの準部は出来ているかッ、猿の王ッ!」 


 笑いが込み上げてくる。自分が変わったかのように心が澄んでいる。


 《称号スキル・英雄の素質》を獲得しました。


 さっきまでの、恐怖、緊張、様々な感情が嘘のように消えていく。それに比例して力がみなぎってくる。


 國本彩音のアルテラのただ一つの信念を持ちながら、レイナを救う。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ