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迷宮探索①

 ギルドマスターの依頼から一週間がたった。未だ迷宮ではめぼしい情報は手に入らない。


 迷宮はまだ二回しか入っていない。一回目は最初のクエスト。二回目は依頼された当日。もちろんその時はレイナのお願いは一緒にパーティーを組むことだったので薬草採取をして終わった後迷宮に入り魔物を避けながら調査をしたけど何も成果なしだった。


 この一週間はレイナと共に依頼を受けている。あの日以来何かと懐かれて?行動している。


 今日も、約束の時間になり。

 私とレイナは朝早くから迷宮へ赴いている。地上に出回る照明装置と似た燐光を宿す天井に見下ろされながら、地下1階層の地面を二人で踏みしめている。


 迷宮は中層から境にして性質も変わる。

 二人で迷宮を潜るのが初めてなので、お互いの力量がまだわからない状態だから、上層で最初は肩慣らしすることにした。

 1階~10階層は薄青色の壁で構築されており、出てくるのは主にゴブリンやコボルトやウルフ系といった低級魔物ばかりで、種類も多くない。

 だが、地下1階層のゴブリンと地下10階層のゴブリンは階層が下に近づくにつれ個々の個体差の変動が生まれが、迷宮の最上階なだけあって、新人冒険者にとっては攻略しやすいエリアになっている、単独の際は魔物に囲まれることがない限り、つまりパーティーを組んでいれば、命を落とすことはないだろう。

 だか、上層の魔物はもう敵じゃあないと調子に乗って、中層に行って痛い目に合うパーティーも少なくない。


 上層で一番厄介な魔物と言えば『キラーバット』だ。コウモリ。体の色は迷宮に似て飛んでいるので攻撃することが難しい。


 迷宮の構造上地図を作るのに大変なぐらいに複雑で1分歩いただけで、曲がり角が5つ以上もあることもあるくらい複雑だ。


 また、魔物が生れ落ちてくる間隔は地下の上に行くほど短くなる。同じ場所に留まり続ければ魔物が生れ落ちて複数の魔物に囲まれることも珍しくない。緊張感が足りていないものほど屍となる。物足りないと思っても安易に下層に行くのはいけないらしい。


 ステータスが高いからと言っても、経験、機転、武装、判断力がないとすぐに死んでしまう。ソロなら当たり前に。


 しいて言えば、上層はその下に行くのに大切なことを学ぶための施設ともいえる。


 話は戻るが、『キラーバット』のいやらしいところは特殊な超音波で近くの魔物を呼ぶことだ。なんで説明しているのは、今まさに超音波で魔物を呼ばれているのだ。現在の階層は8階層


「まかせて…」


 ここは、レイナが一人で魔物たちと戦うことになった。本来ならばパーティーで連携を求められる階層だが、レイナがどのような戦闘をするのかわからないので、今後潜ることになると思うので、注意深く観察することにした。いつでも戦闘態勢に入れる形で。


 レイナの戦闘は実に鮮やかだった。迫りくる魔物を最低限の動きでさけ、刀で斬っていく。遠くから何かしようとする魔物には一閃の雷が放たれ消滅していく。


「ビュギィ!?」


 最後の魔物が断末魔を上げて、消滅していった。


「ふぅ」


 すごい数はたくさんいたのに、あっという間に終わってしまった。


【索敵】を発動していると、上空から降下してきた『キラーバット』を寸前で往なし、左右の干将・莫邪で羽を断つ。片翼を失った蝙蝠はバランスを崩す、地面に落下し止めを刺す。【索敵】はその場にじっとしている魔物は感知できないらしい。スキルも万能ではないのね。


「アルテラ、強いね…」


「そっちこそ、すごかったです!」


 お互いを褒め合い、再び迷宮探索を行う。

 アルテラとレイナが奥に進んでいくとコボルトとゴブリン。それも二匹づつ。


 私が人型系の魔物に突っ込み一気に加速する。剣の交差させる、低級の魔物では筋力はこちらが上なので問題なく剣を弾くことが出来た。ゴブリンは大きく体勢を崩し、うしろに体重がかかる。

 そらから、レイナにスイッチをしてもらい問題なく倒すことができる。同様に魔物を往なしながら倒していく。


 今の私たちの連携なら上層は楽に突破できるが、慢心はよくないので、連携のすこしの差異を調整していく。


 地下10階層に着いた、光景はまだかわらない。目も前には『キャタプ』がいた。

 昆虫系特有の口膣が大きく威嚇をしている。その後ろには中層も近いこともありボブゴブリンもいる。


 複数同時に相手にするのはきついので、キャタプを先に片づける。


「レイナッ!ボブゴブリンの牽制お願いします」


「わかった。」


 一体に狙いを絞り、斬りつけていく。その切り口からぬめぬめした粘液が噴き出てきた。


「うぇ!?きもちわる」


 皮膚が考慮してたより柔らかかったので威力が出せなかった。レイナから抜け出した2匹ボブゴブリンがその隙に棍棒で振り落としてくる、すかさず、蹴りを入れ、もう一体を右手の干将で対処しようとするがーー手から零れ落ちる。


 しまった、あの粘液か


「うっ!!」


 もろに棍棒を受けてしまった。


「イカズチ!!」


 リンネの魔法で2匹が消滅した。


「ごめん..」


「大丈夫です、ハイヒール!」


 まだ心の何処かで慢心をしていたのだろ。新調した防具のおかげであまり痛くなかったがすぐに攻撃された箇所に治癒魔法をかける。


「!! 治癒魔法使えるの?」


「はい」


「あまり、人前では使わない方がいいよ…」


 治癒魔法はいま現在使える人物は確認されているなかで5人いるらしい。使えるのがもしばれると上位の《眷族》や国家の面倒ごとに巻き込まれる。


 なんか、私って知られちゃいけない秘密がどんどん増えていくんですけど…


 ギルドマスターは何も言ってこなかったけど。


「わかりました」


 それから、蹴散らした魔物が消滅したところに行き、魔石の回収も忘れずにする。


「アルテラは少し休んでいて…」


 申し訳ないが、まだ2回目の迷宮探索で思った以上に体力が削られているのでことばに甘えることにし、レイナの戦闘を眺める。


 レイナの戦闘は基本に忠実だった。既に迫りくる危険度C、Dの魔物を圧倒できる実力がありながら、驕り高ぶらない。魔物を呼び寄せる『キラーバット』を真っ先に潰し、決して複数対一にならないように立ちまわっている。


 完全にこの空間はレイナが握ている。


「グシャアアアア」


 断末魔が鳴り響き、魔石になった。


「じゃあ、進も」


 10分休憩し、先に進んでいく。


「あの、レイナさん壁からさっきの魔物みたいのがうじゃうじゃ張り付いているんですけど..」


「そうだね、巣の中に迷い込んかも」


 かもじゃあないよ、もう粘液まみれになりたくないよ


「あ~ぁ..どうするんですか?レイナ、戦うとか言わないよね!?」


「どうしよう…、出口が塞がれてるけど...」


 次々と穴にはまり抜け出せなくなったような間抜けな恰好で垂れ下がっている『キャタプ』がはい出てきて、地面に落下している。

 落下音も気持ち悪い音がしてる。


 気持ち悪さに飛び跳ねた私を見て、レイナは口元に手を当て、ぷっと笑みをこぼした。


 初めて、レイナの笑顔を見た。やっぱ笑った顔の方が全然綺麗。


「くす、ふっふふふっ!」


「…もう、笑わないでよ」


 レイナの笑い声に嬉しいような複雑な気持ちしたアルテラ。やがて、レイナはすこし顔を赤くして無表情になる。


 でも、こんなことをしても現実は変わらないんだよね。


 粘液まみれを覚悟してレイナと一緒に魔物を倒していった。

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