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記憶

 まずは、私が何者かなのか、ここは何処なのかを調べなくてはならない。

 これからの行動方針はこれでいいだろう、改めて現状の把握をする事にする。


 今の私は知らない家のベッドで横たわっている。私ではない別人の身体に、背中に身体の大きさに見合わない大きな白い翼だ。窓の外を見ると木が見渡す限り、そこら中にある。


 まずは行動あるのみだ。目を瞑って深呼吸をした後、家を出て森の奥に入っていった。


 それから1時間。進んでいると、角が生えた兎がいた。


 あの生物は、日本にはいないはずた私の身体に翼が生えてる時点でわかっていた、ここは日本ではない。

 角兎から離れるために、息を潜め一歩一歩後ろに下がっていると、足元にある小枝を踏んでしまった。


 バキッ


 音に気づき角兎がこちらを向き私を認識すると、一直線に突っ込んできた。


 右に避けようと、脚に力をこめる。だか、避けきれない........


「ッ!?」


 避けきれず、左の太ももに角が突き刺さり私は地面にへと倒れる。


「あっ...まだ、死に、たく、ない。」


 高々運がない。それが最後の言葉となり、目の前がブラックアウトするのだった。


 気が付くと見知らぬ部屋にいた。声を出そうと口を開けても声が出ない。私の意志で動けず、喋れない。そこには20歳後半の男女がおり背中には翼がある。こちらに顔を向き嬉しそうに、愛おしそうに向かってきた。これはこの子の記憶なのだろうか。この記憶で分かったことは、私がこの世界で絶滅したと言われている天翼族の生き残りらしい。魔法がほかの種族より秀でており、その翼の羽には手足などを生やすほどの回復効果あると言われている。そのため、軍力補強や翼の羽を得るために狩られ奴隷にし、死ぬまで使い続けたらしい。


 この子は最後の天翼族の生き残りであり、人目につかない森の奥にひっそりと暮らしていた。だがその暮らしはつらくはなかっかた、お父さん、お母さんとの三人暮らしは幸せであふれていた。


 私はアルテラ、お父さんはヘクトール、お母さんはアリアと言うらしい。


 その日々は、ごくごく普通の生活だった。この子も幸せに暮らしてこの日常が延々と続くと思っていた。

 お父さんから魔法を教わり森へ一緒に狩り行くようになった。狩りが終わりお父さんから家の近くならば一人で行ってもいいと言われた。


 年月が過ぎ、お父さんと狩りがない日に一人で森へ行った。このとき、魔法がうまく使えるようになりいつもより深くあしを踏み込んだ。


 1時間歩き続けると、後ろからカサカサと音が聞こえた。後ろに振り向き音へしたほうに行っても、何もなっかた。気のせいかと思い、家に帰った。


 それが終わりの始まりだった。


 日々が過ぎ、狩りへ出ているお父さんが大慌てで帰ってきた。


「アリア、アル今すぐ逃げろ」


 息を切らし、必死の形相で叫んだ。


「あなたどうしたの?」


 っとアリアは言った。


「ヒューマンの騎士たちがこちらに向かってきている」


 それを聞いて、三人で森へ逃げて行った。走って逃げている、後ろを振り向くと鷹のエンブレムの鎧を着た大勢の人が向かってきてた。


「アリア、アルは先に逃げろここであいつらの足止めをする」


「あなただめよ、殺されるわよ」


 アリアは言った。


「ここでみんな固まっていては、追いつかれて全員つかまってしまう。誰かが残らないといけない、アリア、アルわたしの家族になってくれてありがとう。だから行け」


 これから死にゆく人の声には聞こえず、いつも私たちにかける声だった。


 アリア、アルテラは目に涙を浮かべて


「わかったわ、生きて帰ってきてね」


 っと言って私の手をつないで森へはしった。


 後ろから、生きろっと聞こえ、爆音が響いた。


 無我夢中で走っていると、急に足が止まった。お母さんに顔を向けると何かを決めたように私を見た。


「アル、あなた一人で行きなさい」


 首に飾っていた、ネックレスを私の手ににぎらせた。


「おかあ、さん...」


 かすれた声でいった。


「アル、愛しているわこれからの人生つらいことがあると思うけど、それと同じくらいに幸せのことがあるわ。だから人生を諦めず生きるのよ」


 そこには死を覚悟した勇敢な女性の姿があった。いまから愛する我が子のためになにが何でも私を逃がすと、目に強い意志が込められていた。


「お母さん、嫌だ嫌だ一緒に逃げようよ、お願いお願いお母さんがいないとやだよ」


 必死にしがみつき、言った。


「アル、最後のお願いを聞いて....」


 走った反対のほうから声が聞こえ、アリアは


「はやく走りなさいッ!! アル」


 叫んだ、それから私は目に大きな涙をためネックレスを持っている手に力を籠め走り続けてた。それから何時間走ったかさえわからない、日が明けても走って走って...ひたすら走り...ふと気が付くと古い小屋みたいな家があり、フラフラと向かっていった。

 家に入り、、ベットに横たわった。何日走ったかわからない。

 今が何時なのかもわからない。

 走り疲れ、絶望の中視界が暗闇の中に沈んでいった。


 この時には少女に心は深い深い底に沈んでしまった・・・


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