買い物
あれから一日たった。
私は迷宮国家の北部にある商業区に一人で来ている。コハクと言うと昨日疲れたらしく、宿でリースちゃんとお留守番することになっている。
なので今、防具を買いに来ています。リンネさんに絡まれているとき、迷宮攻略状況と現在の装備は品質は良いが、私には合っていないから防具を買ってきなさいって言われた。
会って一日だけど面倒見のいい人だ。
「アルテラ....」
「!」
最近聞いた声の持ち主が、視界の中、こちらに徐々に近づいている。昨日の出来事でフードを取ることにした私に何で気が付いたんだろう?顔って見せたかな?
「なんでここにいるんですか?レイナさん」
「....レイナでいい。どこにいくの?」
「レイナさん....?」
「レイナ....」
「はい。レイナ」
聞く耳を持たなかった。
「防具を一式揃へようと思いまして」
「ついてく....」
「大丈夫ですよ、迷惑になりますし」
「ついてく....」
うん。話をまったく聞かないタイプなのかな?
レイナの服装は迷宮に潜るときの服装と異なっていた。今日はレースをめしらった可愛らしい白のブラウスに足にぴしと密着したスキニーパンツ。こういう人は何を着ても似合うんだね。
「じゃあ、防具の店の案内をお願いしてもいいですか?」
いくらこちらから言っても話を聞いてくれなそうだったので、諦め、レイナに道案内をを頼むことにした。
「わかった。ついてきて」
◇ ◇ ◇
「誰かとこんな風に出かけるのは、久しぶり....」
ちょっと違うと思うけど、口に出さず心のうちに留めた。
「そう、なんですか?レイナなら誰も放っておかないと思うんですけど。…その男の人だったら、特に」
「余裕がなかった....。でも目的の手がかりができたから...」
顔が一気に険しくなったが、すぐにいつもの無表情に戻った。
一瞬どうしたのかなって思ったけど、気にしないことにした。
空は快晴だった。
時間帯もあって、大通りは賑やかだ。初めて来たけど人道りが激しい。
商店の大小関係なしに。それぞれの店の店員達が盛んな呼びかけを行っている。
通りすぎる人達が私たちのことをチラチラ見ているけど、なんでだろう?
「あの、どこまで行くんですか?結構歩いたと思うんですけど」
「あと少しで着く...ギルドが所有している所に行く。安く買える」
「ここって、迷宮の周りにある建物じゃないですか!?」
私はいつの間にかここまで歩いていたみたいだ。
「迷宮の周りにあるだけで、冒険者のための専門店...」
「は、はいっ」
「...入る」
言われるがままに店に入っていく。
「あの、キラキラしてて、高そうなんですけど...」
お金は多少は持っているが、今の持ち金は170万マリスぐらいだ。
「大丈夫、ついてきて...」
レイナは、不安にしている私を見てもかわらない声で、歩く速さをちっともゆるめようとしてくれない。
建物1階はいわば玄関みたいなもので、2階は公共施設で休憩所で、3階には魔石の換金所や装備が売れる施設になっていた。ここにはエレベーター見たいのがあったが、レイナからの気遣いか1階ずつ回ってくれている。4階に着いた。
「この4階から6階まで、新米の鍛冶師から有名な鍛冶師や《眷族》が自由に出品できるエリア...」
《眷族》ってなんだろう?
私はガラスのケースに入っている剣の値段は...300万マリス。
手持ちが全然たりない…
ちょうど側にショーウィンドウがあったので、奥に鎮座する黄金の剣の価格を見てみると...。
(...7000万マリス!? ここで、防具って買えるのかな?)
はぁ~私は手に額にやって項垂れた。
「最上階に行こう。」
「ここから回らないんですか?」
「ここ高い、上は安いから...」
うん。いつも言葉が足りないんだよ。
話を要約すると、4階と5階は有名な鍛冶師や《眷族》の商品で高いらしく、6階はまだ売れていない新米の鍛冶師のエリアらしい。
「ついた」
先程の4階と同じような光景が出迎えたがケースに入っていた。
剣、槍、斧、槌つち、刀、弓矢、盾、鎧、その他の防具...様々な種類の武具の専門店が広く展開されている。冒険者の数も多い。
このフロアを一通り回ることにした。レイナはここで待っているいい椅子に座り込んだ。
店内を【鑑定】しながら奥に進むと、中々いいものがちらほらある。目的ではないが立派な双剣が穂先を天井に向ける形でずらりと並列している。
値段はさっきに比べてすこし安いぐらいと思いながら見てみるとー3万マリス
「やすい!」
4,5階とたいして変わらない武具もある。案外掘り出しものがあるかもしれないね。
新米の鍛冶師スミスが下の下の冒険者達の客層を確保する狙いがあるかもしれない。
鎧エリアに来た。
(うわあ...下っ端の鍛冶師スミスが作ったって言っても、いいものがあるな...)
全身フルプレートの重装備のアーマーなど、パーツごとに小分けに売られているものから、中には等身大の人形もあって装備した自分の姿を鮮明にイメージさせてきた。変わった形の盾や兜もありなかなか面白いね。最初は不安だったけど、楽しくなってきたかも。
防具一覧の下の値段をはじめからみると、4500、1万、7000、5万。
これも安価だね。
しばらく見てみると、防具一式がまとめて売っているボックスがあった。魔物の糸で作られたチュニック風とズボンの防具に、関節を守るためだけの白と黒を基調としたライトアーマーだった。体にフィットするような小柄のブレストプレート。一つ一つが軽く。動きを阻害することもない。翼に関しては心象魔法でなんとか翼用にしないとね。
「うん。これがいいかも!」
ライトアーマーを一旦置き、満遍なく回ってからほかにいいのがなかったら買う。値段はちょっと高めの70万マリス。
これを作った人の名前なんだろう、フェ二クスみたいな紋章が彫られているだけ。
結局、一番魅力的だった、ライトアーマーを買ってレイナの元へ向かう。
「買い終わったの...?」
「はい!」
それから、建物を出てお礼を言う。
「今日はありがとうございました」
「..大丈夫...」
この人は相変わらず表情は変わらないな。
「次何か困ったことがあったら言ってください。これは道案内のお礼です。」
店で買ったネックレスを渡した。私が持っている母のネックレスと似ている。
渡したら顔を下に向けたが、すぐに顔を上げお願いをしていた。
「ありがとう…じゃあ、お願いしてもいい?」
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