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銀髪美女

「すっかり、暗くなっちゃたぁ....」


 空が茜色から暗闇色に染まっている。もうすっかり夜だ。


 並び光っている、道を頼りに走りながらギルドから離れ、いくつかの小径が入り組んだ路地裏へと入る。


(あれ、ここ何処....ほんと、森の中の暮らしが恋しいよぉ)


「....足音?」


 立ち止まる。


 路地裏の奥から、私以外のバタバタと何かが駆ける音が響いている。一人....いや二人か。


 小さいものと大きいもの、足音から大小が分かり、察することができた。


「どこにいるんだろう....?」


 表通りは外れたばかりだ。来た道を振り返れば、少ないが人の行き来がはっきりと見える位置にいる。耳を傾け足音のする方へ近づいていく。


 まだ距離があるとはいえ、絶対面倒ごとが起こっているのは確実だよね、行きたくない。


 不安より好奇心に流されながら、どこかわからない曲がる道をまずは覗き込もうとする。


「えっ?」


「ッ!」


 出し抜けに、一つの影が目の前を勢いよく転がった。私も影に引っかかって後ろへ転ぶ。


 立ち上がり慌てながら近寄ってみると....。


(....綺麗だな)


 私よりも高い身長に、触れれば折れてしまいそうな細い手足。一つ一つのパーツがとても整っている。


「すいません、大丈夫ですか!?」


「....大丈夫。」


 何事もなかったように立ち上がり、淡々と言った。


 白鳥のような綺麗な白色が肩までかかる髪。でも、表情は無機質だ。人形のようだ。


「追いついたぞ、この愚図っ!!」


 道の奥から一人のヒューマンが現れる。目には怒気がこもっており彼女を睨みつけている。


 私の背より大きな剣を背中に差している、ガタイがいい。


(なんで、冒険者ってこんなに厳ついの....)


「もう逃がさねえからな...ッ!」


 息を切らしながら、剣に手を当て今すぐに斬りかかる勢いだ。


 そんなことを考えてたら、彼女の手を引いて男たちから逃げる。


「こっちに走って!!」


 男は彼女しか目に写っておらず私のことに気づいていなく逃げることができた。

 後ろからは、叫び声が聞こえたが構わず走る。


 涙目になりながら覚悟を決める。


 事情はわからないけど、この男は間違いなく、後ろの彼女に酷いことをする。


 路地裏を3つ曲がると、そこは行き止まりだった。


「ハァ、ハァ、やっと追いついた。ただじゃおかねぇーぞッ!!」


「あの、一回落ち着いた方がっ...!?」


「これが落ち着けだと、ふざけるな!」


 あ、これ完全に切れてますね。


「お前は、その女のなんだよ!」


「な、なんだろう...?」


「こっちが聞いてんだよ!!」


「まあいい、この女を置けばお前は逃してやる」


 10分前の私だったら逃げるけど、乗り掛った船だから今更放り出せない。


「できません...」


「いい、まずはお前から殺す....!」


 男が剣を抜いた。


 魔物の殺気は浴びたが、人の本物殺気は初めてだ。反射的に私は干将莫邪を構える。


 男も応戦するとは思ってなっかったらしく一瞬驚いたようだけど、すぐに双眼に力を入れ直し睨みつけてくる。


 初めての対人戦....魔物とは違う。足が震える、戦えるの、殺さなければ殺される?

 やめてよ、こっちに来ないで私…ヒューマンが殺したいほど憎いの。

 なんとかこの感情を抑えているけどあのヒューマンみたいな顔してたら抑えられないよ……。


 男は大剣を持ち、こちらに振りかざす。


 懐に入り、左手の莫邪で斬りつけるが横に避けられる、剣を振り下ろされ干将・莫邪をクロスさせ後ろに下がりたい衝動を噛み殺し、耐え弾く。


 魔物とは違う。一つ一つの動作に無駄がない。

 次の瞬間、男は大ぶりの動作に入りこの隙を見逃さず腹に全力で蹴りをし、吹っ飛ぶ。


 この程度なんだ……。なんであの頃の弱かったのかな……


【心象魔法】で無駄なしの弓を呼び出そうとすると、コハクが手に甘噛みしてくる。


 はっ、と我に戻る。


 男が倒れている隙に、後ろにいた彼女の手を引き路地裏をでる。その彼女の顔は一瞬目を見開いたが、すぐに無表情になった。


「大丈夫でしたか?」


 改めて言う。


「大丈夫....。」


 さっきから同じ言葉。


「なんで、追いかけられていたの?」


「潜ってて....レアアイテムが....よこせって」


 うーん、情報量が少なすぎる。こういう事でいいのかな一緒に迷宮にあの男と潜ってレアアイテムがでて渡せっていわれたのかな?

 それか、レアアイテムを入手持っていることを知られたとかかな。


「そうですか、じゃあ、気をつけてくださいね」


 かかわると面倒ごとが起こりそうだし、話を切り上げる。


「....レイナ」


「ん?」


「名前....レイナ」


「名前ですか、私はアルテラです」


 名前を聞いて、レイナは何処かへ行ってしまった。


 何だったのだろう?


 帰りが深夜になり、女将とリースちゃんに心配されたのは言わなくていいだろう。


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