第三話 現実の世界に戻る
第三話
「リアルな夢だったなー」
アラームで目が覚めた俺は会社へ行く支度をする。やけに身体の調子が良くて、いつもより早く会社へ行く準備をすることができた。
アパートから会社までは近いので自転車通勤をしている。だいたい片道10分なんだが、今日は8分で行くことができた。自転車を漕いでも全然疲れないので、今までで一番速いタイムを出せた。
「おはようございます」
「おはよう。今日の作業予定だ。今日は重労働になると思うから、怪我をしないように気を付けてくれ」
「了解です。今日は重い機材をたくさん運ぶんですよね」
「そうだ。腰を痛めないようにな」
俺は建築作業員だ。学生の頃はスーツを着て会議をしたり営業したり、そんな将来を想像していたが、就活が思ったようにいかず、なんとか今の会社から内定をいただいた。
バリバリの肉体労働だが、実りは悪くないぞ。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
今日はたくさん重い機材を運んだが、以前より軽く感じた。
身体もあまり疲れていない。
「今日は調子がいいな。昨日早く寝たからかな?じゃあ、今日も早く寝るか」
家に帰った俺はいつもより早く寝た。アラームをセットしてから。
次の日はアラームが鳴らなかった。