短編ブーストに関する一考察
皆さまは「ブースト」という言葉をご存知でしょうか?
恐らく多くの方が、「知っている」と回答されるとは思いますが、一応簡単にご説明しますと、「ある事象」を起爆剤として、小説のpvが飛躍的に伸びる現象のことです。
有名なものとして、「10万字ブースト」や「ランキングブースト」「完結ブースト」などがよく話題になりますね。
これらのブーストについては、すでに多くの先輩諸氏がさまざまな考察をされているので、今回は割愛させていただきます。
今回私が取り上げるのは、「短編ブースト」という本当にあるかどうかもわからない謎のブーストについてです。
「短編ブースト」とはつまり、エッセイや読み切り小説などを投稿することによって、それを見た人に作者に興味を持ってもらい、現在連載中の長編小説のpvを飛躍的に伸ばしましょうというものです。
そんな上手い話があるか? と思ったあなた。鋭いです。
個人的には、短編ブーストは「基本的には存在しない」もしくは「あったとしても割に合わない」程度のものだと考えています。
例えば、今私がこういうエッセイを投稿したとして、①まずそもそもこれを読み、②なるほどと思い、③さらに作者に興味を持ち、④そしてその作者がほかにどんな作品を投稿しているのだろう? と興味を持つ人が一体どれほどいるのかと
さらにさらに、仮に④まで行ったとしても、⑤読んでみたら面白い連載小説だ、⑥定期購読しよう。
そう考える人など雀の涙ほどもいないと思われます。(そこから更にブクマや評価してくれる人などいるのかと……)
しかし私は、「ある条件」を満たせば、短編ブーストは発生し、しかも爆発的な効果を発揮すると考えております。
これ以上は前置きが長くなりますので簡潔にいいます。
つまり……。
「連載小説の『読み切り版』を活用して短編ブーストを発生させよう」
というのが本稿のテーマになります。
用意するもの
① pvを伸ばしたい連載小説
② ①の短編読み切り版
以上です。
もう少しわかりやすく言うと私の場合、
①【悲報】追放された魔王様が人間の弱小国家で宰相をやってる件について
という連載小説と
②【読み切り版】追放された魔王様が人間の弱小国家で宰相をやってる件について
といった具合です。
本稿には直接関係がないので、詳しい説明は省略いたします。下記にリンクを貼らせていただきましたので、もしご興味あれば読んでいただけますと幸いです。
(一応宣伝もしていくスタイル……)
さて、具体的な手順としては
まず、① の連載版をスタート。6話まで毎日1話ずつ連続投降。
6日目に、② を短編小説として投稿 以上です。
結果は……。
以下pvの推移です。
日付 連載版 短編版
6/27 29 -
6/28 94 -
6/29 113 -
6/30 222 -
7/1 133 -
7/2 309 107
おぉ……。
た、確かに短編を投稿した7/2に連載版のpvが一気に伸びているように見えますね。
6/30のpvが少し多いのは「日曜日」だったからだと思います。
ちなみに7/3以降は平日でも安定してpv300を超えるようになりました。
(お読みいただいている皆様には本当に感謝です。この場をお借りして、お礼申し上げます)
さて、この結果から明らかなことは、
「読み切り版の短編小説」を投稿することによって、「連載版」のpvが増加するという「短編ブースト」は実在する。
ということです。
お読みいただき、誠にありがとうございました。
と、終わってしまってはキツネにつままれたような話だと思いますので、以下もう少し詳しくお話しします。
そもそも、なろうにおける短編小説投稿の大きなメリットとして「トップページに表示されている時間が圧倒的に長い」という点が挙げられます。
以前私が投稿したある短編は、月曜の17時に投稿し、少なくとも19時半まではトップページに残っていることを確認しております。(むろん曜日や作品の投稿数によって変動することはありますが……)
それでも、連載小説がものの数分でトップページから消え失せるのとは、「雲泥の差」です。
そして、私のような底辺作家にとって最大の悩みとは、評価云々以前にまず「読んですらもらえない」というものです。
そこで、「トップページに表示されている時間が極めて長い」短編小説の「読み切り版」を活用して、「連載版」の存在をより多くの読者に知ってもらおう、というのが今回の戦略の概要になります。
実は今回の「読み切り版」の活用については、最初から狙っていたわけではありません。
上記の、「追放魔王」については、当初「短編小説」として作っていたものが構想が膨らんできたため、「連載版にした方がいいのでは?」と思い、途中から連載版に切り替えたものです。
それに伴い、「短編版」は未公開となり、一度も日の目を見ないままpcのフォルダ内にお蔵入りする形となりました。
しかし、「せっかく作ったのに公開しないのも勿体ないなぁ」と思い、どうせなら連載版の宣伝用に使おうと考え、タイトルも連載版に併せて修正し、投降したという経緯になります。(ついでに、世にいう「短編ブースト」なる怪しいブーストは実在するのか実験してみようという意図もありました)
よく「短編版」で反応が良かった作品を「連載版」としてスタートさせるという方は多くいらっしゃると思われます。
もちろん、それも非常に良い戦略です。
しかし、私の場合は上記のような特殊な事情も相まって、「連載版」をスタートしてから「短編版」でテコ入れするという変わった形になってしまったのです。
ですが、おかげで「短編ブースト」の存在を実証できました。
そしてこれは、なろうの大海原に潜む「隠れた名作たち」にスポットライトを当てるチャンスを提供できる戦略ではないかと思い、この度筆を執った次第であります。
「短編を連載化する」というのであれば、設定やストーリーを深く掘り下げて大幅に練り直さねばならず、非常に大変ですが、「連載版を短編化する」のであれば現在連載中の作品を「読み切り版」として簡略化してリリースするだけなので、手間もさほどではないと思われます。
むろん、「必ずpvが伸びる」と確約できるものではありません。
しかし、「試してみる価値」は十分にあると思います。
「読み切り版を活用した短編ブースト」一度試してみてはいかがでしょうか?
この度は、このような駄文をお読みいただき、誠にありがとうございました。
最後に、実際に短編ブーストを利用したいと考えている方向けに、注意点だけ記載させていただきたいと思います。
(注意! 筆者は今回の「短編ブースト」の際、ある「致命的なミス」をしました。 皆さまはアホな筆者の二の舞にならないよう、必ずお読みください!)
① ランキングタグを設定しましょう。
要は「読み切り版」の最後に「連載版」へのリンクを貼っておくことです。(本エッセイの一番下に「追放魔王」へのリンクがありますが、これのことです)
(ランキングタグの設定方法については、私もド素人で、見よう見まねで何とか設定しました。設定方法が分からない方は「ランキングタグ 設定」などで検索していただければ、分かりやすい解説がいくつも出てくると思います)
「読み切り版」から「連載版」への誘導を目的としておりますので、読者様に素早く連載版へ移動していただけるよう、ランキングタグの設定は「必須」と思われます。
が、しかし、私はここで、「致命的なミス」をやらかしてしまいました。
先ほども申し上げたように、「読み切り版」投稿のメリットは、「トップページに表示されている時間が長い」というものです。
後で知ったのですが、「トップページ表示中」に当該小説に対して何らかの「編集作業」を行うと、その小説が「トップページから消え失せる」という謎の現象が起きるようです。
(「新着の短編小説」右下の「もっと見る」や「小説検索」をかければちゃんと出てきますが、なぜかトップページから私の小説だけが消えるのです)
ハイ、何をやらかしたかと言いますと、
手順1:「読み切り版」の短編小説を投稿します。
手順2:すぐに小説情報を「編集」し、連載版へのリンクを貼ります。(この間約一分)
と、いう訳で、私の「読み切り版」追放魔王は、ものの約一分で「トップページから消え失せた」のです。
つまり先ほどの上記の検証は、「トップページへの表示時間ほぼゼロ」の状態で叩きだしたものです。(もし、2~3時間トップページに残っていたら、どれほどの効果があったのだろうと思うと、悔やんでも悔やみきれません……)
なので皆さまは、「連載版へのリンクを貼るタイミング」は十分にお気を付けください。
じゃあどのタイミングでリンク貼ったらいいんだ? という話になりますが、こちらのデータをご覧ください。
時刻 短編版 連載版
16時 - 2
17時 34 27
18時 30 21
ハイ、こちらが、私が読み切り版投稿(17時過ぎ)直後に連載版へのリンクを貼った結果になります。連載版は更新直後でもない限り通常時のpvはほぼゼロという状態なので、読み切り版(短編版)の読者が、そのまま連載版に流れてきているということになります。読み切り版を読んでくれた読者の、7~8割が連載版へのリンクを踏んでくれたことを意味します。
仮に、連載版へのリンクを貼らずに、トップページに残っている時間が長かったとしても、例えば、上記の推移が
短編版 100 → 連載版 10
だったら意味がないわけです。(トップページに表示されているので多くの人が読んでくれるが、連載版へのリンクが貼ってないので、本命の連載版への誘導ができていない)
「トップページから消える」 と 「リンクによる連載版への誘導効果」
これをトレードオフしてどのタイミングがベストなのか検証することはほとんど不可能であるように思われます。
少なくとも、「何もしなくてもトップページから消える」時間まで行ったらリンクを貼らない意味はないので、理想は「トップページから消えた瞬間」にリンクを貼ることかもしれません。(あるいは、「読み切り版」の後書きに「現在諸事情により連載版へのリンクが貼られておりません。〇時頃には設定できますので、それまでの時間お待ちいただくか、大変恐縮ですが、手動にて連載版へ移動していただければ幸いです」と書いておくか……。)
さて、これ以外の注意点はそう大したものではありませんが、一応列挙させていただきます。
② 設定について
読み切り版と連載版の設定、違っていいと思います。と、いうか、読み切り版の「4万字以内」という限られた字数の中で、本編の詳細な設定を描写するのは不可能です。前書きに「連載版と設定や内容が異なる場合があります」と一言断っておけば問題ないと思います。
「読み切り版」は、要は連載版の「試食品」です。あなたの作品の「売り」や「最高に盛り上がるシーン」を精一杯描写しましょう。連載版との設定の整合性なんか気にする必要はありません。
③ タイトルについて
私は読み切り版と連載版、同じタイトルで投稿しましたが、タイトルも別に違っていいと思います。やはり前書きに「これは〇〇という筆者が連載中の作品の読み切り版になります」と断っておけば大丈夫です。思いっきり「なろう受け」するタイトルで読者を吸引しましょう。
④ 文字数について
「4万字以内」という短編小説の文字数制限内なら別にいくらでも構わないと思います。が、あまり文字数が多すぎると、読者は「試食品で胃もたれ」してしまうかもしれません。
読み切り版を「最後まで」読んでもらわないと、連載版のリンクへ飛んでもらうことはできないので、「やりすぎ」には注意すべきかもしれません。
ちなみに、筆者の読み切り版「追放魔王」は全部で9千字ちょっとです。一応ハッピーエンドまで書き切りましたが、この文字数でも意外と多くのことが書けます。(連載だと2話から3話分のボリュームしかないので、最初は「全部描写しきれるか?」と思いましたが、意外や意外、「読み切り版」で書きたかったことは全部書ききれました。やはり連載版の細かい設定をすっ飛ばして必要な部分だけを描写したからだと思います)
以上、私の「短編ブースト」に関する考察でした。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。