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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
青年期。盾と剣の別行動
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96話  《盾》、《海》から助言をもらう

一人で無理でも協力者がいれば……

 報告に目を通して、立ち上がる。

「さてと」

「どこへ?」

 急に立ち上がったので、部下が戸惑ったように声を掛けてくる。


「決まっている」

 姉さんの居ない間国を締めるのは自分の仕事だ。

「それにしても他国はすごいな」

 これを一人の象徴で納めているのだからな。


「他国は他国。我が国は我が国ですよ」

 そう答えつつ部下が後ろに付いてくる。

「ルーデル卿とルーデル公。お二方がご協力しているから我が国は王を支えて栄えています」

 そう言われて、

「俺は姉さんのようにうまくいってないがな」

 苦笑してしまう。


 それにしても………。


 銘を見せられて、偽物か本物か分からない。


「姉さんなら分かるんだろうな……」

 真贋を見抜ければ。商人が偽物前提で売り飛ばしているのか。役人が偽物というのを知っていて出したのか。

「騙されたという事は無いだろうな」

 さて、活き込んで出てみたがどう動くか……。


「やっほー!! ヒメル~!!」

 声を掛けられて、そちらを見るとそこには、

「マーレ……?」

 なんでマーレがここに。ってか。

「それ。女物だぞ」

 呆れたように声を掛けると、

「綺麗なモノに男女の区別はないよ」

 ひらひら

 きらきら

 天都の技術で作りあげた装飾品。

 エーヴィヒの新たな名産品。


「で、どうしたの? 眉間に皺を寄せちゃって」

 ぐねぐね

 人の眉間を指で押してくる。


「やめろ」

 腕を掴んで、止めさせる。

「ごめんごめん。で、どうしたの?」

 尋ねられて、

「国の問題だ」

 返す。


「国の問題でも、――商人の問題でもあるよね」

 マーレの表情が一変する。


「マーレ?」

「なんてね」

 にこっ

「僕は商売には詳しいよ!!」

 そう告げて、こちらの言葉も聞かずに、

「わお。――偽物だね」

 前半は、明るく。後半は冷たい声。

 マーレの目には例の商品。


「――分かるのか?」

「だから、僕は商売は詳しいって言ったじゃん!!」

 にこにこ

「これ、銘は偽物だね」

「――分かるのか?」

「それぐらい当然」

 胸を張って告げると、

「ほらっ、って。分からないか。――本物持ってきて」

 マーレの声に部下が反応して動き出す。

「ほらほら。ここの線が短いでしょ。で、この模様が無い!!」

 見せられると一目瞭然。

「マーレ」

「んっ? なあに」

「お前でも役に立つんだな」

 思わず言ってしまうと。

「それ褒められてるように聞こえない」

 マーレは少し不満げだった。








マーレ「お荷物じゃないからね!!」

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