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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
青年期。盾と剣の別行動
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95話  《盾》。事務仕事をする

リヒト。姉より常識人だと思っているが似たり寄ったり(笑)

「ルーデル公。こちらの書類もお願いします!!」

「ああ。分かった」

 執務室。そこでは珍しい書類の山が出来上がっている。

「ああ。これもしないといけないのか」

 今まで姉さんのしていた仕事を渡されて、その仕事量に音をあげたくなる。


 軍の予算。

 治安維持。

 被害。


 軍関係でもかなりあるだろうと思ったが、姉さんは軍だけではなく、警察関係の事もしており、諜報もしていた。

「諜報なら俺もしていたが……」

 承認の動き、その品。どこから来たのかそれによって他国の動向を掴んでいた。


 商人一人二人の動きでは見えないがその出身地で調べると見えてくる者。

「武器の密造か……」

 とある製品ととある製品。それぞれ別の商人が買っていたがそれを合わせると武器が出来る。

「関税を掛けているから持ち出しは少量ですが」

「姉貴の判断か?」

「はい」

 書類を持ってきた部下に確認する。

「そうです」

「……流石だな」

 まだ適わない。


「ルーデル公」

 別の部下が声を掛ける。

「これを見て下さい」

 見せられたのは我が国の特産品。だが、

「違うな……」

 出来が悪いのだ。

「模造品です。裏で売られていたので証拠として押収しました」

「そうか」

「で、実は……」

 続けられた言葉は、国が認めた最高品という銘が付いていたのだ。

「これにか」

 この粗悪品にそんなもの付けるわけはない。

「そうですね。――で、銘が偽物か。何者かが粗悪品なのに銘を付けた本物か。という問題が起こりまして」

「見分けがつかないのか?」

「今までもその手のがありましたが、市場に出回る前に阻止されてたんですよ」

「んっ?」

 未然に防がれていたという事か?

「……………ルーデル卿のおかげなんですけどね」

「…………………姉さんか」

 あの人ならやれるな。


「どうせ勘だと言って突然動いたら見つかった口か」

「良くお分かりで」

 溜息。

「付き合いが長いから予測付く」

 勘でどうしてそんな事まで探れるのか気になるが……。

「今まで、ルーデル卿の勘で未然に防がれていた分。そういう輩も動きにくかったみたいなのですが、ルーデル卿が居ない今の段階で」

「そいつらが動いている。か。――俺が舐められているという事か」

 実際に姉さんには適わないが、それで舐められるのは許せないな。

「姉さんに未熟だと言われるのは事実だから否定できないが、姉さんでもない相手に馬鹿にされるのは許せないな」

 そう不快だ。


「………」

 俺から発せられる殺意を感づいたのだろう。部下達の顔が強張る。

「そっ、それにしても。彼らも愚かですよねっ!!」

 怯えて顔を強張らせたまま部下が口を開く。

「奴らの恐れているルーデル卿の一番手塩に育てているのがルーデル公なのにその相手を舐めるだなんてっ!!」

 恐ろしくて普通は出来ませんよね。

「そっ、そういえばそうですねっ!!」

 別の部下も同意するが、

「俺は姉貴よりも厳しくないぞ」

「端から見れば同じです!!」

 そう力説される。

「……だいぶ違うがな」

 例えば、姉さんは殺さないぎりぎりで拷問をして、情報を仕入れるが、俺はその加減は出来ない。

 ぎりぎりまでしようとするが殺してしまうか姉さんよりも脅迫が甘いからな。

「……その例えが出るだけでもルーデル卿の愛弟子ですね」

 げっそりとしたように言葉を返された。



フリューゲル「リヒトは俺が育てた」

 

 ただいま新兵調教中

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