表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
幼少期。《剣》に出会う
9/185

9話  **。不思議の詰まっている国に辿り着く

これぞファンタジーと言う国がイーシュラットです

 海は不思議なところだ。


 人のような魚ような生き物が居て――人魚だと教えてもらった――陸地に近付くと鳥のような人間の様な生き物に出会い――セイレーンと言う――陸地に着いた。


 そして、ますます驚かされる。


「背中に羽根がある……」

 馬にそういう種類があるんだ。

「あと、角も生えてる……」

 羽根の栄えた馬。角が生えている馬。

 エ-ヴィヒには居ない。


 居ないと言えば、さっきから蝶の羽根を持った小さな人間がふよふよ空を飛んでいる。

 物陰には踏んでしまいそうなくらい小さい人間。


「……イーシュラットの人間って小さいんだね」

「いや、違う」

 ルーデルが訂正する。


「この国には幻獣。聖獣などを含む。いわゆるおとぎ話の住民が存在しているんだ」

 妖精。

 小人。

 天馬。

 一角獣。


 どれも絵本で見た事ある存在だが、いないと思っていた。


「まあ、その手の生き物はこの国でしか見れない。この国からまず出せないんだ」

 出せない?

「どういう事?」

 出すって?


「ああ。――分からないか。盗み出せないんだ」

 盗み出す……。


「例えば、あの猫。あれは身体の中に万能薬の材料があるという事で乱獲されたんだ」

 尾が長い。巨大な猫が家の屋根で眠っている。


「一角獣の角もここには居ないけど、グリフォンとかもそうだな」

 グリフォンも本に書いてあった。


「じゃあ、薬の材料にするために殺したって事なの?」

「ああ。――かつては俺らの住んで居た辺りでも居たらしいんだけどな。今はこの国しかいない」


 見た事の無い生き物をじろじろ見ている観光客。

 気にしていない現地人。

 差が明確に分かれる。


「――それは、我が国の成り立ちから説明しないとね」

 声がした。

「よお。使いを出したけどわざわざ迎えに来てくれたのか?」

 目の前には耳を翼の様に羽搏かせている犬。


 それがしゃべるのも驚いたが、気さくに声を掛けるルーデルにも驚く。

「お前が来ると鳥が騒ぐ。鳥系の幻獣もな」

「ありっ? そうだったのか?」

 それは知らなかった。

「自覚しろ。ってか、知っていただろう」

「バレたか」

 ぺろっ

 舌を出す仕草に、犬は呆れた様にため息を吐いて、

「油断も隙も無いな」

「安心しろ。軍事目的には使えないから」

「使うな!!」

 全く。

 呆れてものが言えないとばかりにため息を吐いて、

「――そいつか?」

「ああ」


 二人だけで分かりあう会話。

 ちくりっ

 その姿が――片方犬だが――なぜか不愉快だ。


「――成程な」

 付いてこい。

 犬に案内されて進んでいくとある人だかりが見える。


「……?」

 地面に刺さる剣。

 それを順番に抜こうとしている人々。


「相変わらずの盛況ぶりだな……」

「抜けるまで続くからな」

 二人は分かり切った態度でその光景を流し見る。


「………?」

「ああ。あれはな。この国の真の王を選定する為の挑戦者だ」

 真の王?


「真の王って何?」

「この国は剣を抜く者が本来の王で、王が不在の間は最初の王の末裔が国を治める約束なんだ」

「この国の幻獣が居るのはその最初の王が結界を作り保護したからだ」

 誇らしげに告げると、

「まあ、詳しい話は後でするか」

「そうしろ。お前の話は長くなるからな」

 そう告げて再び歩き出し、


「えっと……………⁉」

――案内されたのはお城だった。







さてと、イーシュラットの象徴は……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ