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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
青年期。盾と剣の別行動
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85話  《盾》。虫をいたぶる

まだまだ残虐シーンは続くよ。

 物的証拠とわずかに生きていた証人を密かに軍の内部に連れて行く。


 公に出来ない事を処理するための地下牢。そこに証人を押し込む。

「象徴様っ!!」

「何故です!! 私達は象徴様の為に!!」

 助けてくれるはずだと信じて疑わないそんな考えだったからその事実に信じられないと叫び続ける。


「後は頼む」

「はっ」

 怒りで殺してしまいそうだから後の処理は姉さんの部下達に任せる。


 そう殺すわけにはいかない。

 裏にあるモノや、全貌を秘密裏に明かして闇に葬らないといけないのだ。


 その点では姉さんの育てた部下の方が上手いだろう。そう。尋問するには。


「何故です。あんな出来損ないよりも貴方様の方がっ!!」

「象徴は代替わりする物です。あんな弱さの塊よりも貴方という絶対的強者が国を導いた方が我が国の為になるはずです」

 虫が戯言を言っているな。


「……喧しい虫だな」

「黙らせますか」

「ああ。――自分の立場を分からせてやれ」

「はっ」

 牢に向かって放たれる鞭。


 柵越しでも届き、虫の首に絡み付く。


「ぐはっ⁉」

「――立場を分かってない虫ですね」

 第5部隊の紅一点が鞭を手に持ったまま告げる。


「虫だと…このアマっ!!」

 馬鹿にしようとするが、鞭が絡み付いているので言葉がそれ以上出てこない。

「自分の立場を分かってないようですね」

 虫に説明するのは面倒なんですよ。

 やれやれという感じで、鞭を持ったまま。


「国を正しいものにするとおっしゃっているその危険思考。その時点で、貴方方は国を救う者ではなく国を食い物にしようとする害虫他なりません」

 害虫は大事になる前に退治しないといけないんですよ。

 その言葉を聞いて、さすが姉さんの育てた部隊だな。


 言葉だけでも相手を締め付ける様は堂が入ったものだ。


「さて、たっぷり叩き込んであげますよ。虫の分際で人の真似事をした愚かさを」

 鞭が証人達から外れる。解放されたはずなのに、解放された事実の方が恐ろしいとばかりに証人の下半身が濡れている。

「粗相をして。――いけないですね」

「脅かし過ぎだ。服を用意してやれ。――この方たちはあくまで証人だ。丁重に扱わないとな」

 丁重とか証人という言葉の意味を疑いたくなっている牢屋に居る虫達だが、これ位で乱暴にされたなどと言うつもりか。


 虫にしてはいい待遇だろう。なんせ、

「――人扱いしてあげてるんだからな」

 にやりっ

 檻の外に控えていた部隊の者全員が嘲笑する。


「象徴様……助けて下さい象徴様っ!!」

 がんがん

 柵を掴んで喚く虫。


「貴方様を正当な地位にしたいだけなのですっ!! あんな出来損ないの象徴よりも真の象徴の元でこの国をまとめ上げるのです!!」

 がんっ

「早く命じて下されっ!! 我らを解放しろとそして、真にこの国のために立ち上がると宣言してくだされっ!!」

「そうです!! そうすれば我々の仲間が貴方様のもとに馳せ参じましょうぞ!!」

「おいっ!! 止め……」

 冷静な証人が狂ったように言ってくる仲間を止めようとするが、止まらない。


 どうやら、虫の中には虫に混ざっていただけの人もいたのか。

 ああ。残念だ。

「気付くのがもっと早ければ、助かったのにな」

 可哀想に。

 

 おやっ。虫が静かになったな。どうしたのか寒そうに震え出して。まあ、ここは冷感対策してないからな。

 ああ。そうか。この虫達は冬には生き残れない種だったのか。せっかく冬を乗り越えれそうだったのに自分達の首を絞めたのか。


 笑う。


 檻の中で怯える気配。

 それを見てもすでに何の興味もわかなかった。

その笑い方は恐怖を誘うものでした。

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