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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
幼少期。《剣》に出会う
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8話  **海を見る

海は広いな大きいな

「うわっ~!!」

 目の前に広がる蒼。青。藍。翠。碧。

 それが揺れ、動き、光を反射して輝いている。

「これは何!?」

 こんな綺麗なの初めて見た。


 興奮して尋ねると、

「これは海だ」

 ルーデルが教えてくれる。

「海……?」

「ああ。イーシュラットまで行く手段は船で海を渡るしか無くてな」

 あの船に乗るんだぞ。


 指差されてそちらを見ると、大きな家にしか見えない――でもなんか違う――モノが海に浮かんでいる。

「あれは……?」

「んっ? ああ、船も初めてか」

 あれは船と言って海を渡る乗り物だ。

 馬車みたいなものかな。


 そう説明してくれて、

「券もあるし、乗るぞ」

 声を掛けてくるので、そちらに行ってみるが、

「えっ……!!」

 きらきら輝いていた海と教えてもらった者は近くで見ると水が張ってあるのだ。

「うっ、海って……⁉」

 てっきり、馬車みたいなものだと聞いたから安心していたのに水に乗っている。


 ……脳内に入れてもらった浴室を思い浮かべる。


「しっ、沈んじゃうよ!!」

 これで移動……? 無理に決まっている。

「ああ。大丈夫だよ。これは産み専用の乗り物だから」

 そう教えてもらい、説明されるが、初めて見るのでいろいろと不安になる。


「まあ、そう言うものだよな」

 まあ、体験してみれば分かるさ。


 躊躇って入れない僕を抱えて中に入る。


 ――因みに馬も料金を払えば乗せてもらえるそうだ。


 船は妙な音を鳴らして――汽笛だと教えてもらった――動き出す。


 びくびく ぶるぶる

 船にしっかり掴まって動くのを感じる。

「ほら、見てみろ」

 怖いのを知っているのに無理やりつかんでいた手を離させて、端まで連れて行く。

「手摺りに摑まってろ。――ほら」

 動いている。

 水の上に白と青が見える。

「――船が通った後だ。馬車の轍みたいだろ」

 轍と言われれば確かにそう見える。


「綺麗……」

 青と白。それがゆらゆら揺れて消えていく。

「エーヴィヒは四方を森に囲まれてるからこの光景は外に行かないと見れないからな。――いい景色だろう」

 告げられて頷く。


「僕旅に出てから感動してばかりだ…」

 ついそう言っていると、

「ああ。良かったな」

 いい物が見れて、

「――これからどこに行くの?」

 そういえば旅に出てきたけど目的は聞いてなかったと思い出して尋ねると、

「ああ。そういや言ってなかったか」

 思い出して口を開き、

「イーシュラットと言う島国だ。あそこは……」

 何か言い掛けて止まる。

「どうしたの?」

 何かあったのかと首を傾げると、

「いや…先に言った方がいい事を思い出して」

 目の前には飛び跳ねる――魚達だろうと思うが形状はだいぶ違う。

「人間みたいな魚も居るんだね」

 遠目でしか見えないけど。


「リヒト」

「はい」

 真面目な顔でルーデルが呼び。


「海と聞いてここを思い浮かべると色々困る事があるから。他の海を見て違うと思ったりするな」

 ここは常識外れの海だ。

「……常識外れ?」

「ああ、ここは。まあ、色々と違うからな」

 船の近くによる魚。

 人間によく似た姿で魚の尻尾があるなんて見た事無いなと興味深く見ながら。

「はい」

 海ってどう違うんだろうと呑気に考えていた。

さて、皆さんは普通の海との違いに気付きましたか?

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