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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
青年期。友人を得る
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74話  《盾》。会談の報告を聞く

始まりの地はお空に帰りました。

 国元に戻り、姉さんは自分には話さないだろうなと判断してさっさと軍の訓練を覗きに行こうと準備をしていたが、

「ヒメル。……フリューゲル」

 陛下の言葉に去ろうとした姉さんの足が止まる。


「ふっ、二人とも⁉ 執務室に来い!!」

 陛下の命じる声。心なしか顔が赤い……。


「Ja!」

 姉さんの返事。その目が面白がっているのが近くにいたからこそ分かった。


 陛下は先に行くぞとばかりに去っていく。


「どんな心境の変化かな」

 にやにや


「姉さん……」

 そんな姉さんに苦笑すると、

「そんな顔陛下の前に出したらまた相手にされなくなるからな」

「わ~ってる」

 ホントかよ。


 分かっていると思うが、胡散臭い人だからな。この人。


「――さて、行くか」

 にやにや顔を引っ込めて――真面目な顔って綺麗すぎて怖いんだなと再認識してしまう――声を掛けてくる。

 だからいつもはふざけた雰囲気なのかもしれないと思いつつ付いていくと。

「それにしても陛下の心境の変化はどう来たのやら」

 にやにやにゃ

「………」

 うん。過大評価し過ぎてた。

(この人のふざけは地だ)

 環境が悪かったかもしれないけど………。


 悪ふざけ代表のカナリアとカシューが脳内で浮かぶ。

 付き合いが長いからいろんな事を教わったと聞いていたが、あの三人が揃うと悪ガキ三人と言う感じで――姉さん女性だという自覚があるんだろうか――色々やらかしてくれる。


 そのたびにシュトルツさんとかジェシカさんが怒っているが、エーリヒさんに言わせるとこの三人がじゃれているのなら平和だという証だと苦笑いしていた。


 エーリヒさんは基本象徴達と一線を置くが――立場的につるめないと教えてもらった――大惨事になるとまずエーリヒさんを頼れというのが、この地域の象徴では暗黙の了解らしい。


 そう言えば……。


「姉さん?」

「んっ?」

「会合に珍しくレーゲンブルネン(エーリヒの国)が来てたけど」

「まあ、あいつの所がこの一帯の大陸を締めてるからな。あんな威張り腐ってるシュトルツもエーリヒには逆らえない。まあ、エーリヒもあまり口出さない性分だしな」

 くっくっく

「姉さん悪人面してるけど…」

「リヒトが悪人面って言葉を覚えただとっ⁉ 喜ぶべきか。悲しむべきか……」

「俺は、そんな姉さんに泣けばいいのか正直困る」

 疲れたように告げると、

「ああ。これは性分だから直せね~や」

「うん。期待してないから」

 そんな軽口を交わして――ちなみに声が聞こえない擦れ違っていく女官達はそんな会話を真面目な顔してるので需要な話をしていると妙な夢を見ているような顔している――執務室に向かうと。


「来たか」

 すでにソファに腰を下ろして紅茶を堪能している。

「んっ?」

 紅茶と何か違うような………。


「これはほうじ茶というらしい」

 陛下が告げる。

「お近付きの印というので神地の女帝――大君とやらから貰った。会談では、かの女帝手ずから淹れられてな」

 飲んで見ろと言われて飲むが、

「やり方通り淹れさせたが風味が飛んでいるな」

 舌打ち。


「――会談では成果があったんですね」

 大君という女性の君主というだけで悪い印象があるのではないかと不安だったのだが、

「ああ。――見物だったぞ。ノーテンとリンデンの君主の顔が歪むのが」

 成程。


 エーヴィヒの国民は大小問わずノーテン。リンデンという隣国二つを毛嫌いしている。

 国の成り立ちとか外交とか、戦争とか諸々な原因があるが、その隣国二つが酷い目に会うとそれを肴に酒は進むとまで言われている。


「で、どんな会談でしたか?」

「ああ。――軍事演習に我が国を指導を受けたいと話があった」

「………っ⁉」

 つまり。

「俺がしばらく神地に派遣されるって事だな」

 もしかして、それも好感触な理由かもしれない。


 目障りな姉さん(フリューゲル)を遠ざける口実が出来たのだから。

 




リンデンはともかく、ノーテン(シュトルツの国)はリヒトは勉学でちょくちょく行っているのでそこまで悪い印象はないリヒト。

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