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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
青年期。友人を得る
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73話  《剣》。その世界の変化に不安を抱く

だけど表に出さない。

フリューゲル「俺の誇りの問題だ。弟には見栄張りたいだろ」

 会談は終了した。

 どんな会談内容だったのかは国に戻るまで聞かせられない。


 そう判断したので、あえて聞かない。


「――聞かないのか?」

 陛下が尋ねてくる。

 始まりの地――その地にあるエーヴィヒの控室。そこで二人で陛下を待って控えてきたが、部屋に帰ってきて開口一番そう聞かれたのだ。


「いえ……」

 ここは始まりの地。

 盗聴の心配はないが念のため聞かない方がいいと思ったのだが、

(聞いて欲しいのか……)

 リヒトだけじゃなくて俺にもか?


(珍しい……)

 そう思って口に出さない。顔にも出してないが、リヒトにはバレているようだ。


「――陛下。詳しくは国で」

「ああ。そうだな」

 疲れが出ている声。


 余程揉めたんだろうな。

 まあ、揉めるか。


 神地。

 今まで、世界は音の大陸――俺らの居る所の呼び名だけど――だけで収まっていた。

 北には北の問題があったし、イーシュラットは南の大陸に手を伸ばしていて、そこの象徴と兄弟関係を結んでいたが、接点はなかった。


 だが、南の大陸が不可侵であったはずの国に――正式には大陸だが――ちょっかい出した事で均衡が崩れた。


 神地の価値は大きい。それは不可侵状態であった原因からも分かるが、その神地から甘い汁を吸いたいのはどこも同じだ。


(しかも北の巨人も呼び出したからな)

 神地組ほどじゃないが、北も閉鎖的で接点はなかった――たまにリンデンとドンパチしているぐらいだ――その北も神地の封印が説かれた影響で自然災害に襲われた――それを考えるとマイケルの行った事は世界を敵に回す行いだったな――。

(いくら北でも。いつまでも閉鎖的ではいられないという事か……)

 価値観の違いで大荒れだっただろうなと予想が付くが、まあ、何とも出来ないけど――所詮戦場が得意分野なので口出しできない――。


 そんな事を考えていると、

「姉さ……姉貴」

「うんっ?」

「不安はないのか?」

 すでに陛下は居ない――用意された寝室で休まれたのだ――それゆえの問い掛け。


「それは民意か? お前個人か?」

 確認。

「………」

 あっ、リヒトが困っている。


「――冗談だ」

「姉さん……」

「――不安ならあるさ」

 大きな流れ。リヒトより長命だが、それでも象徴としては若い方だ。


「だが、変化は起きるものだ」

 何時までも同じではいられない。


「………」

 ふと、シュトルツの言葉を思い出す。


 リヒトの能力。

 象徴として持っている筈の力の権限は、《玉座》に連なる力ではないかという言葉。


《玉座》は血が流れるもの………。

 戦乱が起こる。騒乱の火種。


 この変化はもしかしたらそれに関連あるのではないか………。


(関係ない!!) 

 首を振る。

 もし、そうであっても未然に防いでみせる。


(俺は、守る者だ)

 悪い考えを打ち払うような決意。

 こんなくだらない事を考えるのはシュトルツのせいだな。うん。


「後でボコろう……」

「姉さん。いきなり何を言い出すんだ」

 リヒトの突っ込みは聞かなかった事にした。


シュトルツ「とばっちりですね……」

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