57話 《盾》。自分の役割を思い知る
リヒトは外交をメインでやってます
自分の戦争だと自覚すると視界が開けた気がした。
そうだ。俺は、《戦う玉座の盾》。戦争を引き出す《玉座》ではなく、血を流す戦争じゃなく、情報戦。内政をする立場だ。
自分のことのする事を見極めないといけない。
(ああ。敵わないな)
姉さんには。
象徴として、姉さんと対等に居たいと思うのにいつもこうやって姉さんに助けられる。
「まだまだだな……」
姉さんの負担を軽くしたいのに、こうやってヒントをもらって行動できている。
「そうでもないぞ」
くすっ
笑う声。
「俺は正直戦争慣れしてるからなそういうのには反応できるけど着飾ったりするのは正直苦手だからな。そこら辺はお前に任せっきりだ。適材適所っていう奴だ」
ぽんっ
「たまには自分の良い所を見てやれ」
お前は十分やってるさ。
その言葉に笑う。
「姉さんも……」
「んっ?」
何だ?
首を傾げられる。
「姉さんもやれば出来るんだから真面目にやりなよ」
「かったるい~。そう言うのはパス」
「パスじゃないだろう」
全く。
「なんでそんなに嫌がるんだ」
「だって」
渋って、なかなか言おうとしないな。
「姉さん」
「……最近女物着せるんだよな。そんなひらひらでフリフリで、綺麗なの俺に似合わないだろうに」
破いてしまいそうで怖いんだぞ。
姉さんの言葉に、
「姉さんが綺麗だからじゃないのか」
「……美的感覚おかしくないか?」
………………………自覚無いな。
「民も自分の国の象徴は綺麗な方がいいだろう。少なくても好みはいろいろあるだろうけど眉目秀麗な象徴しか見た事無いけど」
そう返すと、
「そうか? 俺は、色素欠乏症で他の奴らに比べると綺麗とはいいがたいぞ」
「姉さん……」
元々の基準が違うんだよ。
「時代が違うから」
少なくとも今は姉さんの外見含めて人気あるから。
「まあ、いいけど……」
多分素直に納得してくれないだろうし。
「姉さんが自覚無い方がいいし……」
ぼそっ
「リヒト?」
「何でもない。――ところで姉さん」
話をすり替える。
「んっ?」
「その中央の地って、どう行けばいいんだ?」
地図で見たが、あそこには海しかなかった。……はずだ。
(姉さんが嘘ついていると思えないし)
そういう性格でもない。
(まあ、姉さんの性格だから騙されたというのもありそうだけど、自分一人が害を被る事なら騙さっるけど、国とか民とかに影響ある事は嗅覚が鋭いんだよな)
流石、《守る剣》と言うべきなのか。
「ああ。――俺も詳しく知らんが」
一呼吸。
「4大陸の代表の承認が下れば現れるはずだ」
4大陸?
「あれっ? 言わなかったか?」
言ったつもりでいたと首を傾げられ、
「この世界は4つの大陸で出来てるんだぞ」
………姉さん。そう言う事は早めに教えてください。
……知らされなかった事実に頭を抱えたくなった。
(俺情報戦専門目指しているんだが……)
自分が頼りないのは教師の影響かも知れないと嫌な考えがよぎってしまった。
フリューゲル「教え方偏ったかな…」
リヒト「少なくとも教え忘れている事ありそうだよ」




