表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
幼少期。《剣》に出会う
6/185

6話  **。《剣》に久しぶりに会う

リヒト視線です

 散歩をして体力をつけた方がいいかと外に出るようになった。

「リヒト様。グーテンモルゲン!!」

「おはようございます」

 毎日いろんな人に挨拶されるうちにどんどん体が楽になってくる感じだ。


「ああ。それはリヒト様が象徴だからですよ」

 世話係として付いて来てくれるリーリエが教えてくれる。


 さん付けして呼ぼうとしたら身分としたら僕のが上なので呼び捨てにしろと言われてしまった。


「象徴って…」

「人に望まれた方ですから。多くの者に認識されればされるだけ身体は丈夫になりますよ」

 やっぱりよく分からない。


 僕はただの人間だと思っていたのに。

 いや、今でもそう思っている。


「やっぱ間違いじゃ……」

「ルーデル卿がおっしゃいましたのに?」

 ルーデル卿。

 あの銀色の髪の人。


「話って言っても僕あれから会ってないし……」

 最初に会った時と起きてからの一瞬。

「たぶん。リーリエの方が僕と接している時間は長いよ」

 ずっと世話してくれるんだし。


「そうですね。ルーデル卿はお忙しいお方ですから」

「あの人は何やってる人なの? 後、僕は何をすれば……」

 象徴が分からない。自分が分からない。

 分からない事だらけで自分は何をすればいいのか分からず動けない。


「それは……」

「――それは俺に聞いてくればいいんだぜ」

 ふわっ

 頭に乗せられる帽子。

 視界が真っ暗になる。


「お帰りなさいませ」

 リーリエが挨拶をする。

「あっ、あの…お帰り……」

 どう呼べば分からないので、挨拶だけすると、


 ひょいっ

「うわっ!!」

 肩に乗せられる。


「うん。少し留守にしていたけど、大分健康的な重さになったな。上出来♪ 上出来♪」

 急に視界が高くなって戸惑うが、すぐに慣れる。


 森の囲まれた土地。それが少し高い所から見える。


「リヒト。俺が留守の間何してた?」

「えっと~。散歩とごはん。おやつを食べて……」

「そうか。体力と栄養は必要だな。散歩すればいろんな奴に会えるしな。仲良くやれそうか?」

 分からないと首を振ると、

「そうだな。そういうのはおいおい分かるだろうし」

 今はいろんなものを見ればいい。

 ルーデルが告げる。


「リーリエ」

「はい。睡眠時間はだいぶ減り。近くの農場までなら散歩できます。少なくとも小作人までリヒト様を認識してます」

 くすっ

「ルーデル卿の弟君ですから。皆可愛がりたくてうずうずしてますよ」

「俺は関係ないだろう?」

「何をおっしゃいますか。我らはルーデル様に恩義のある者ばかり、弟君ならその恩を報いたくて色々したいのが現実です」

「気持ちは嬉しいが、リヒトはリヒトだ。俺のおまけ扱いだと可哀想だろう」

 そう気に掛けてくれるのを見て、

「ううん!! そんなの関係ないからっ」

 だから叱らないでと伝えると、

「そっか。いい子だな。リヒトは~」

 わしゃわしゃと頭を撫でられる。

 それがくすぐったい。


「あっ、そうだ」

 思い出したとばかりに、

「陛下に休暇願を出してある。受理されたらリヒトの名前の手掛かりを探しに行くからその用意をしておけ」

「えっ……?」

「――承知しました」

 どういう事かと戸惑うこちらを気にせずにリーリエが頭を下げて答える。


「という事でリヒト」

 肩から降ろされる。


「休みもらったら旅行に行くぞ!!」

 これでじっくり俺と一緒に居られるな。


 嬉しげに笑う姿を見ていると、

「ああ。わたくしの方がリヒト様と行動をしているという話聞こえてましたか」

 納得したとばかりの呟くリーリエに、

「まあ、聞こえていたけど、それ以前に行こうとは思っていたんだからな」

 だから、嫉妬したんじゃないぞ。

 そう語るが自白もいいところだと思ってしまう。


 そんなこんなで旅行が決まった。




リヒトがどう呼ぶかはまだ保留。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ