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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
青年期。友人を得る
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52話  《剣》。人々の不安を憂う

まだ地震はありました。

 復興支援のため外に出て、手が足りない所――仮設住宅から食事の準備。諸々――の手伝いを兵士達と共にしていくと、いろいろ手が足りない事に痛感させられる。


「まあ、でも、切羽詰まって無いな」

 命令系統がしっかりしている証拠だ。


 食糧支援も足りないところが無ければ――それでも十分とは言えないのはどこも同じだろう――逆に届きすぎている所もなさそうだ。


 アレルギーや医療。物資の多すぎる所も無いようだ――命令系統が上手くいかないと偏りやすい――。


「流石、内政なら頼りになる王だ」

 これで戦場に出ようなんて事しなければ名君に為れるのに――色々残念だ。

 エーヴィヒという軍国の王として生まれてしまったゆえの悲劇なのか。


 そんな事を考えながら瓦礫を素手で撤去――本来なら大人五人ぐらいで退かす代物である――していくと、

「フリューゲル様っ!!」

 ……かつてはルーデル卿と呼ばれていたが、今はルーデルの姓を持つ象徴が二人なので必然的に名前で呼ばれるようになった。


「何時お戻りになられたのですかっ⁉」

 兵の一人が声を掛けてくるので、

「ついさっきだ。――俺らが居ない間頑張ってくれたな」

 よくやった。


 そう褒めるが、

「いえ、まだです」

 兵が答える。


「そうだな」

 よく気が付いた。


 怪我人。病人の対応。食糧などの物資。それらに気を付けて的確に行動できたが、


「………」

 それでもまだ終わっていない。


 避難民の所に向かうと、

「象徴様っ!!」

「フリューゲル様っ!!」

 大勢の者が近付いてくる。


 まず、子供。

 遠慮しがちに大人。

 そして、慎重に向かっている老人。


「怪我は病気は無いか?」

「足りないものはないか?」

「よく頑張ったな」

 その一人一人に声を掛けると嬉しそうに笑う姿。


 だが、聞こえないように、

「象徴に人の痛みが分かるものか!!」

 と、周りに聞こえないように責める声も確かに届く。


「………」

 確かに分からない。

 人のような怪我をしないし、人の様に弱くない。


 人が苦しいというのは理解できないかも知れないが。


「もう地震に襲われる事はないだろうな」

 神地が原因だ。ある程度納まるだろう。

 そう独り言を呟くと。

 周りの人々に微笑む。


 まあ、余震はしばらく続くが。


 象徴としては、人の不安を和らげる事が、出来るように、大丈夫だと告げた。

民はフリューゲルの方が人気だったりする(笑)

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