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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
青年期。友人を得る
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47話  《剣》。神地に向かって連絡を取る

……の手伝いをする。

 鳥で突かれてお仕置き中のマイケルをほかって、さて、この問題児を回収したから次はどうしようかと考えている面々を見て、しばらく出番は無いかと座って、休憩を取る。


 いい風だ。

 超高速で向かったので、ゆっくり休んでいる場合じゃなかったけど、一段落したからもういいだろう。仮眠をとる事に決めて、目を閉じる。


 しばらく――五分ぐらいたっただろうか――話がまとまったのか空気が変化しているのを感じた。


「プリーメラ」

 シュトルツが声を掛ける。

「俺の出番か?」

「ええ。――不本意ですが」

 なら、するなよと思いつつ、

「鳥を呼べばいいのか?」

「ああ。――ラサニエルの文を持たせる」

 エドワードが答える。

「ふうん」

 まあ、賢明か。


 そう判断するとマイケルを突いて遊んでいる――この地域の鳥は鳥居を壊した事でかなりご立腹なのでお仕置きに加減が無い――を見て、別のでもいいかと判断して、空を見上げる。


「……」

 呼ぶと言っても特に何もしていない。エーヴィヒの鳥達はあえて呼ばれたいので動くのがゆっくりだが、この地域はそうでもないようだ。


 空を見上げるだけで、近付いてくる影。

 それを確認して腕をあげると、すっと止まる鳥。


「ありがとうな」

 来てくれて。

 野生の鳥だが、撫でられてご満悦だ。

「お願いがあるんだ」

 そう頼むと引き受けたと告げてくる気配。


「相変わらずの鳥使い……」

「どの手の事では彼女が最適ですから」

 褒めても何も出ないぞ~。


 ラサニエルが手紙を書くとそれを取りの足に括り付ける。


「じゃあ、頼むよ」

 きぃぃぃぃぃぃぃ

 鳥が羽搏く。

 風に乗って空を舞い。やがて見えなくなる。


「後は返事待ちですか……」

「五体満足なら見たらすぐに来てくれるやろ。だが」

 ラサニエルがミノムシ――マイケルを見て、

「小僧がよけいな事しておらんとも限らん」

「――マイク。この場所で何かしたか?」

 嘘は許さないからな。言外で脅すエドワードに背筋が凍るような寒さを感じたが、

「話すわけないだろう!!」

 ああ……可哀想に。


「――ヒメル」

 ああ。エドワードのいい笑顔。

「――落としていいぞ」

「ちょっと!! 待つんだぞ!!」

 慌てて叫ぶマイケル。

「何考えているんだ!! ここで落としたら死ねって言っているようなものだぞっ!!」

「安心しろ。象徴は死なないから」

 そうだな。苦しみが長引くだけだな。


「あわわわわわわ!!」

 トーマスが慌ててる。

「エドさん。いくらなんでも」

「トーマ。――悪い子にはお仕置きだ」

「あっ、そうですね」

「トーマ。納得するのが違うんだぞ!!」

 漫才やってる兄弟はほおっておいて、

「いいの?」

「いいんじゃない?」

 リヒト(ヒメル)にさせるのが気に入らないが一番近いのはリヒト(ヒメル)だしな。


 リヒトは、一度決めたら動くのが早い。


 すっと一瞬で縄を切り、ミノムシ――マイケルは海に落ちた。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 悲鳴がうるさいぐらい響く。どうでもいいが、そんなに叫んだら海水飲んで酷い目にあうぞ。

「姉さん…良かったの?」

 沈んでいくミノムシを眺めながら――でも助けない――リヒトが聞いてくるが、

「んっ? 大丈夫だろ」

 視線の隅には、何時でも飛び込める用意をしているマーレ。

「ぎりぎりを見極めて助けに入るから(マーレちゃんが)」

「そうなのか……」

 いろいろ戸惑ってるな。

「象徴は溺死しないから大丈夫だろう」

 今までそんな間抜けな死を迎えた奴はいないし。


 そんな事を思いつつ、しばらくたって、マーレが気を失ったミノムシ――マイケルを救出した頃には、マイケルが化け物虎と三つ足鴉を攻撃したと涙ながらに聞かされて、

「も一回だな」

 と再び海に放り捨てられたのだった。


まだ。マイケルをフルボッコ中

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