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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
青年期。友人を得る
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45話  《剣》。神地に向かう

神地だよ。全員集合!!

烏丸「止めて下さい」

「………」

 誰も言葉を交わさない。


 巨大な船。その船は海に詳しい人からすれば常識外の速度で進んでいる。

 つまり、口を開いてる余裕が誰一人ないのだ。


 あまりの速度に耐えられずに参っていしまっているエリーゼを支えながら――その際胸を揉まれて余裕あるなと妙なところで感心してしまった――見慣れない鳥に視線を送る。


 エドワードの友人(?)のポセイドン・シルフィード・ウィンディーヌ。ビアンカの願いに応えた海の精霊達の全力で、この船は神地に向かって進んでいるのだ。


「………」

 姉さん。

 大きくなってもそこは変わらないなと心配そうにこちらを見てくるリヒトに不敵に笑い。


 大丈夫。


 と口を動かそうとするが、舌を噛みそうなので視線でしか伝えられない。


 船はやがて速度を落としだす。どうやら、そろそろ目的地の様だ。


 視線を前方に向けるとどうやら先客がいた。

「エド」

 速度が弱まったからようやく喋れる。

「ああ。マイクだ」

 それにしても何だろうあの巨人は、

「海の精霊。の一種みたいだ」

 エドワードが呟く。

「でも、見えてないんだよな」

 進もうとしている船を抑えている巨人――だが、エドワードの弟からすればなぜか船が進まない状態なんだろうな。


「マイク!!」

 シルフィードによって届けられた声。

「やあ、エドワードじゃないか? 君の手品かい!?」

 エドワードの弟の声が届けられる。聞いた感じだとトーマスと似た声だ。

 ……まあ、トーマスの方は弱々しい気弱さが前面に出るが。


「マイク。神地に行っちゃだめだって言ったじゃないか!!」

 トーマスが叱り付けるように叫ぶ。

「トーマ告げ口かい? そんな奴とは思わなかったぞ!!」

「うっ、それは悪かったけど。してはいけないと言われてる事はしないものだろ!!」

「知らないぞ!! 第一、引き籠もっていてもいい事無いだろう。俺が目を覚まさせてあげるんだぞ!!」

 なんだこの自分勝手な象徴は。

「何上から目線なんだよ!!」

「何言ってんだい。俺の言う事はすべて正しいんだぞ」

「エドワード……」

 つい同情の眼差しを向けてしまう。

 俺のリヒトはいい子で良かったな。いや、トーマスはいい子みたいだけど。


「言うな……分かってるから」

 疲れたようにエドワードが呟く。

「マイク!!」

 叱り付ける声。

「ふ~んだ。口先で何言っても聞くものか。どうせ舌先三寸で騙す気だろう!!」

 あっかんべ~してくるのが音で分かった。

「舐め腐った餓鬼やな」

 ああ。ラサニエルが怒っているな。まあ、怒りたくなるけど。


「………」

 あっ、海の荒事専門家のカナリアとマーレの表情が変わった。

「エドワード」

「船近付けれる?」

 二人から漂う戦闘意欲。

「ね…姉貴。どうしたんだあの二人は?」

「――リヒト」

 戸惑うリヒトに忠告。

「海で逆らってはいけない存在が居るからな」

 覚えておけ。


 船は近付く、そして、近付いたと思ったらカナリアとマーレが素早い動きで船を乗り込み、あっという間に多分エドワードのもう一人の弟と思われる存在を連れて戻ってきた。


 ―――みのむし状態になって暴れているのは見なかった事にした。

マイケル「海怖い。海怖い」

カナリア&マーレ「手加減したんだけどね」

マイケル(あれで手加減!!)

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