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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
幼少期。《剣》に出会う
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29話  《盾》。その国の異形さに驚く

イーシュラットが魔法国家ならレーゲンブルネンは科学国家です。

 そこは湖だった。

「海みたい……」

 海のような広い湖。そこに浮かぶ天に届くような城塞。


「レーゲンブルネンをここまで身近に見るとはな……」

 姉さんはどこか信じられないというように呟いている。


「――リヒト」

「うっ、うん?」

「よく見ておけ」

 この国はイーシュラットと別の意味で異世界だ。


 ――その言葉の意味を知ったのは中に入ってからだった。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 エーリヒの鉄の馬にも驚いたが、鉄の馬は一頭だけではなかった。


 鉄の馬――馬でもいろんな種類がいる――鉄の馬車――馬を付けてない――それらが道を走り、壁が光って絵がころころ変わる。


『いらっしゃい。いらっしゃい』

 絵がしゃべりだす。


「なっ、何なの!!」

 見た事無い。

 こんな光景知らない。


「――レーゲンブルネン。その独自の文化故に完全中立。他国が攻める前に粉砕できる戦闘力を持っている。故に孤高」

 かつて、この国しかないモノを奪おうとした国は数知れずだが、その結果は見るも無残な代物だった。


「イーシュラット。レーゲンブルネン。その二国の独自性はけして奪えない。そう言われている」

 まあ、レーゲンブルネンの場合は追いつけるかもしれないが、それよりも先に常に進む国。けして追いついて追い越せない。


「――覚えておくといい。これらは科学という」

 エーリヒが説明する。

「科学……」

 聞いた事がない。


「………」

 エーリヒはそれ以上答える気が無いと言う様にすたすたと進み――途中動く階段があった――ある建物に辿り着く。


「ここだ」

「レーゲンブルネンの城に入れるとは思わなかったな」

 姉さんが呟く。


「――相変わらず」

 今まで一言もしゃべらなかったリンデンの象徴が口を開く。

「攻める事が簡単そうなのに攻めれない。不思議な城だね」

 不愉快だという感じだ。


 天に届きそうな高い塔――。


 質の良いガラスに包まれたその塔は太陽に光を受けてキラキラ輝いている。


 ピッ


 エーリヒが近付くと変な音がして、ガラスの一部が動いて門が開かれる。


「――付いてこい」

 案内されて恐る恐る入る。


「こっちだ」

 壁に手を触れると壁が開き、小さな部屋が現れる。


 そこには居ると再び壁は閉じて、

「うわっ!!」

 床が揺れる。

 怖くて、姉さんに摑まる。


「――リヒト」

 姉さんはそっと不安げな僕を支えたまま、

「窓を見ろ」

 と声を掛ける。


「えっ⁉」

 景色が動く。

見えていた街並みがどんどんどんどん小さくなっていく。


「船……?」

 いや、違う。

 街が遠ざかっているのは同じだけど、下に遠ざかっているのだ。


「――この箱が上に上がっているんだ」

 エーリヒが簡潔に説明する。


「時間があったら外からこの箱を見るといい」

「――いいのかよ」

「構わない。外から見た程度で理解できる造りはしてないからな」

 余裕綽々。いや、


(追いつくのを…待っている……?)

 そんな気がする。


 ちーーん


 鈴のような音と同時に箱が止まり、壁が開く。


「プリーメラ!!」

 ぷんすかぷんすか

 頭から煙を出している男性。


「よくも!!」

 モップを取り出して攻撃をして来ようとする女性。


「よっ、フーちゃん」

 煌びやかな服に身を包んだ青年。


「ううっ…」

「お前付き合い長いのに怯えるんじゃない!!」

「だって、だって…」

 涙目になっているよく似た男の子二人。


「フリュー。久しぶりやな」

「先日会ったばかりだから久しぶりって気がしないけどな」

 この前の旅であった船に乗っていた青年――カナリアさんとエドワードの姿。


「姉さん……」

「見事に役者はそろったな……」

 不安げなこちらの反応に頭を撫でて慰めつつ、エーリヒを見る。


「ああ。そこの新しい象徴含めてな」

 エーリヒが告げる。


「――さて」

 この場に居る全員を招いてドアを開く。


「話し合いをするか」

 戦争終結のための――。



取り敢えず名前が出た象徴は全員出てます。

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