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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
幼少期。《剣》に出会う
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3話  《剣》。《死神》と一戦交える

戦闘シーンが書きたいけどうまく書けないもどかしさ

 雪の行軍は辛い。

「ルーデル卿……」

 部下が小声そうな声で呼び掛ける。


「――分かっている」

 この地は常に雪が降る。


 永遠の冬。


 それがこの先の大国。


「わ~。来てくれたんだんね」

 にこにこと雪の向こうで手を振る人影。


「ここで待っていろ」

 部下に命じて、兵を留める。


 この先は雪。


 人じゃ耐えられないだろう。


「――また攻めてきたのか《死神》」

 人じゃないから寒さもある程度耐えられる。

 声が届くぎりぎりまで近付くとそいつに声を掛ける。


「――いい加減。俺のうちを諦めろよ」

 舌打ちしてしまうのはもう数えきれないほどこいつとは小競り合いをしているからだ。


「だって~。北のは崖の向こうで登れないし、東の国々(かたがた)は白蛇と黒龍。あかの門で立ち入り出来なくされてるし、南は海で進めない。だったら、西の地域の国境近くにある君のうちしか攻める場所ないじゃない」

「その攻める前提の考えを改めろと言っているんだ!!」

 毎回思うがその理屈は何だ。


「自国の事を疎かにしていて攻めてばかりじゃないか!! 内部分裂しても知らないぞ」

「――君のかつての国みたいに?」

 にこにこ

 子供のような無邪気な口調で、人の傷を抉ってくる。


 流石、《死神》。


「僕はね。雪以外の景色を見たいんだ。冬しか知らないもん。僕も僕のおうちの子も」

「………お前が力をコントロールすればいいだろう。《凍てつく冬の死神》」

 万年雪。

 永久凍土。


 そんな国の象徴で生まれたのは、冬の寒さ。雪の厳しさ。そして奪われる命。

 冬の名を持つ《死神》。


 その名前故か。彼は、雪を操る。

 

 象徴は人外ゆえか人にない能力を持っている者も居て、彼のような天候を操る事が出来る者も居る。


「う~ん。やろうと思っても出来ない」

 にこっ

 そう笑うが、その手に持っているのは血の付いた大鎌。


 彼は、死神の名のまま命を奪う。


「《太陽》くんもそうでしょう? 僕ばかり責められても」

「あいつはもっと天候をコントロールできるぞ。雨一つ無い国で住民を野垂れ死にさせんし」

 お前と一緒にするな。


「冷たいな。ルーデル君は」

「お前に冷たいと言われたくないな」

「えぇ~!!」

 心外だと告げると同時に大鎌が振り下ろされる。

 

 それを避け、右手に持った件で攻撃をする。


「相変わらずすごいね~。雪で動きにくいのに」

「お前との戦闘はよくあるからな。覚えたに決まってるだろう」

 雪のせいで負けなど《守るために戦う剣》の名に掛けて許されない。


「ちなみに5679回だよ。ルーデル君との戦闘は」

「一々数えてたのかよ」

 めんどくさい奴。


「だって、ルーデル君と僕は友達だもん」

「そんなものになったつもりはない!!」

 鞭を振るって、腕の動きを封じる。


「痛いよ~」

「痛くしているからに決まってるだろう」

 さっさと帰れ。


「もっと、遊びたいからやだな~」

「ガキみたいな事を言ってんな!!」 


 そんな言い争いをしながらの戦闘。

 どちらも相手の攻撃を躱し、相手の隙を窺う。


 そんな戦闘がしばらく続き――。


「あっ!?」

 降り続いた雪が止む。


「あ~あ。お終いだ~」

 不満げに告げる声。


「さっさと帰れ」

 しっしっ

 犬猫を追い出すように手を払う俺。


「む~」

 不満げに口をとがらせても可愛くない。


「もう終わりなの~。ヤダな~。ルーデル君。うち象徴にならない?」

「断る」

 一刀両断。

「つまんないよ~」

「つべこべ言わずにさっさと帰れ。――もう雪は止んだだろう」

 そう告げると不満そうに。それでも渋々と去っていく。


「――お見事です」

「こっちはいい迷惑だ」

 部下の言葉に溜息一つ。


 雪を降らせる象徴は雪の止ませ方を知らない。

 雪が止む時は他の象徴と戦闘をして力を使い切った時――。


 今、それを担えるのは、防衛戦特化の力を持つ俺だけ――。


「勘弁してくれ」

 あいつの体力に耐えるのも酷なんだぞと思いつつ。

 雪で凍えた――寒さに強いが平気とは言ってない――体を温めたいと少し離れた距離で待っている部下の元に戻ったのだった。

ちなみに《死神》は《太陽》に会った事はありません。

《剣》をルーデル呼びするのは面識があるし、人間名も知っているから。

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