28話 《盾》。たくさんの象徴に会う
象徴がいっぱい。
あの人は誰だろう……。
姉さんの近くにいた大鎌を持っていたヒトは怖いと感じた。
視線だけで人を殺せるなら絶命させられるだろうというぐらいの憎悪でこちらを睨んでくるその姿。
――気に入らない。
目が告げてる。
――ルーデル君が人間を好きなのは良い。鳥だって許せる。でも……
ぞくっ
――象徴は許せない!!
「………っ!!」
怖い。
「どうした?」
守るように抱き寄せてくれる姉に安心するが、それがますますそいつを憎悪に駆り立てる。
「ああ。……あいつは気にするな」
子供の様な奴なんだ。
「子供……?」
「ああ。――子供のようにあどけなく、無邪気に残酷さを出す。……性質が悪い象徴だ」
子供……。
「怖い……」
「そう思うなら。――近付くな」
そう告げると、鉄の馬に乗っている青年に近付く。
「久しぶり。エーリヒ」
「ああ。久しいな。プリーメラ」
「……他の奴に呼ばれたら返事しないが、お前なら別だな」
少しだけ困った様に笑う。
「お前の性別なんて、気にしないからな。第一象徴に性別など気にする必要ないだろう――カイゼルが大切していたくらいだな基準は」
「カイゼル?」
誰だろう?
「お前の言う気にする必要のないという事は大半は気にする内容だけどな」
姉はこちらの問い掛けに気付いてないのかそうエーリヒと呼んだその人に言葉を返す。
「そう言うものか……人と同じ姿をしていても人と同じ様に子を作れないのにな」
そう告げると、
「初めて会うな。――エーリヒ・アインバッハという」
「レーゲンブルネンの象徴だ。完全中立。こいつ……というかレーゲンブルネンが出ればどんな戦争も集結する」
それぐらいの力がある奴だ。
「凄い人なんだ……」
「そう望まれたからな。――来い」
もう役者はそろっている。
「役者……」
「戦争関係者の象徴勢ぞろいさせたか?」
「ああ。――カンタータ達もな」
「……そうか」
なら、早くいかないとな。
「マーレちゃん泣いてないか?」
「さあな。――お前も来い」
エーリヒの視線の先にはもう一人の象徴。
「ストラビンスキー」
「――イワンでいいのに」
「悪いな。お前のような若造はわざわざ名で呼ぶ価値を見出せない」
特に守るべき民を蔑ろにする輩はな。
「わぁ。言うね。お爺さんが」
「爺の自覚はあるがお前の遊びに行こうとしている所の象徴よりは若いつもりだ」
挑発を相手にせずに、鉄の馬に跨ったまま。
「レーゲンブルネンに案内する」
と告げたのだった。
次の話は象徴が多く集まります。




