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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
毒の支配
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179話 《剣》。その思惑を深読みする

対になる言葉を並べたい二人

「そりゃ、災難だったな」

 リヒトの報告を聞いてついそう言ってしまうと、

「災難だけで済ませてもいいんだろうか……」

「まあ、あのお姫様は俺がお嫌いだからな~」

 反応としては仕方ないんじゃない。

 そう返すとリヒトは意味が分からないと首を傾げる。


 そう言うところはまだまだなんだな。可愛いけど~。

 実際に言ったらすねられるから言わないけど、顔には出ていたようだ。


「――姉さん」

「ワリイワリイ」

「………悪いって思ってないだろう」

「いや、思ってるさ。だけどな。育てたこっちからすれば大人になったなと思える時とまだ俺が知っている幼い時の姿が透けて見えると嬉しくなる物なんだぜ♪」

 リヒトには悪いけど。


「…………育てたか。俺はいつになったら貴女の『弟』を辞めれるんでしょうね」

 なんか不穏な事言ってなかったか? 寂しい事言われた気がしてなんか辛いんだけど……。


「こっちは毎日蛇の生殺しですよ(ボソッ)」

 リヒト?

 何言ったのか聞き取れなかったんだけど。


「それにしても……太陽って、カナリアさんが居るのに恐れ多い……」

「まあしょうがないな。象徴の名前は自国の王とその王に近い方々。それに俺ら象徴同士しか知らないしな」

 だから、そんな事も起こるさ。


「えっ⁉ だけど、姉さんが剣だとバレてないかっ⁉」

 いろんな国から防衛特化の剣だとバレているような……。


「それは俺の行動での予想だろう。――象徴の能力は結構名前に付随してるからな」

 分かり易いのは冬とか太陽と言う名前の奴らだろう。

 あいつらが動くと天候が変化するからな。


 そう言われて、|《冬の死神》《イワロフ》と|《太陽》《カナリア》の両名が浮かんだ。


 あの二人が動くと吹雪になるし、太陽が現れて灼熱の熱さになる。

「………なるほど」

 納得してしまった。


「という事で太陽の名前か頑張れよ」

「冗談じゃない!!」

 慌てるリヒトを面白がっていると。


「まあ。――冗談は置いておいて」

 困ったものだ。

 そう溜息を吐いて。


「殿下はよほど俺がお嫌いと見える」

「姉さん……?」

「俺が居るのに太陽の名をお前に付けようとする。まるで、それにはお前しかいないという様に」

「……………」

 空に輝く――そんな意味合いのリヒトの名前。


 そして、俺の名は、翼と桜草。

 リヒトに付ける愛称としては向いているが、そこにフリューゲル()が入る隙間が無い。


「そんな深い意味は……」

「ないと思うか」

「………」

 帰ってくるのは沈黙。


「まあ、別の意味もありそうだけどな」

「別の意味……?」

「そっ」

 まあ、こっちの方が意味としては強いかもしれないな。


「太陽があるのなら月もあるだろう」

 金色の髪。緑の目のリヒト。

 銀色の髪。紅い目の俺。


 まるで太陽と月だ。

「俺に月の名を与えるのか与えないかは分からんけど、なかなかの策略家だな」

 人は空に浮かぶ太陽を信仰するのが多い。

 

 そして、月に魔物を呼び起こす何かが居ると思っている。


「最近。月の光は太陽によって影響されると学会で発表された」

「ありましたね……それが」

「簡単に言えば、主体はお前。俺はおまけ。そう民に認識させるつもりだ」

「……………」

 まあ、長期計画だけどな。


「意味が分からない……」

「リヒト」

「俺を姉さんが拾ってくれたから俺はこの国の象徴になったのに俺のおまけって……」

 憤るリヒトに落ち着けとそっと肩を抑える。


「まあ、そこまで殿下の意図は無いかも知れないけどな」

 俺の考えすぎかもしれない。


 そうリヒトには告げたけど、そんな意図ないだろうというのはあり得ないのは自分が良く分かっている。


 …………それにしても。

 目の敵にされてはいるが、そこまでされる意味が分からない。


 あんな方だっただろうか。


『ルーデル公!!』

 幼い頃はあんな可愛らしい方だったのにな。

 


世間一般だと姉弟だと思われてません。兄妹になってます(笑)

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