表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
お家騒動。その波乱
166/185

161話 ヒトの悪意

人が死にますご注意ください

 若き王。そして、王妃。


 視察に向かう二人を一目見ようと大勢の観客が集っている。


 その傍には王を守るために控えている兵士達。

 王と王妃は民に手を振って、最近発明された自動車に乗り込みゆっくりと出発する。


「――始めろ」

 それを観客の一人として近くで見ていた男は、ぼそりと合図を送る。


 別の場所で控えていた男はその合図を確認すると。

 カチッ

 ボタンを押す。


 王と王妃を乗せた車が爆発する。


 大勢の観客が居た。

 多くの民は王と王妃を見ていた。


「救護班っ!!」

 誰かが叫ぶ。


 車から炎が上がっている。


「陛下っ!!」

 そこに警護担当の者が駆け寄ってくる。


 助け出そうとするが炎があって近づけない。


「――退いてろ」

 そこに銀色の髪の女性が近付いて、剣を振る。


 振った剣は空気を裂いて、炎を消し去る。


「陛下っ。妃殿下っ!!」

 消えた炎の中に銀色の髪の女性――自国の象徴が車に近寄る。


 火傷を負い、倒れている女性の姿が見つかる。

 王を庇うようにいたのは妃殿下ヒルデ。そして、その庇われる形で居たのは。

「陛下っ!!」

 火傷は酷い。だが、息がある。


「救護班。すぐに来いっ!!」

 空気を裂くように響く命令。


 駆け寄っていく救護班。


 その傍には護衛と運転手の姿もあったが、原形を留めてない。

 そんな状態の中で王と王妃がこの状態で見つかるのは奇跡に近い――。


 いや、防衛特化の象徴が側に居なかったが、二人の安全を祈っていたからその程度で済んだのかと誰もが感じた。

 だが、当の本人は、その程度しか守れなかった――事前に気付けなかった事を激しく責める。



「――即死とはいかなかったか」

 それを見ている者は呟く。

「護るために戦う剣でしたっけ? あの()()()()()()()()の名は」

「ああ。防衛特化の象徴だ。――それしか特徴のない。な」

()()が一緒に乗っていたら計画は成功しなかったな」

「今回の視察の計画段階でその手の話題に行ったら話をそらすように仕向けていましたからな」

 内部班を臭わせて、彼らは混乱している人々の中を擦り抜けていく。


 計画は上手く行った。

 あとは逃げるだけ――。


 そう、そのはずだった。


 ぴぃぴぃ

 きぃきぃ


 近くの鳥達が一斉にその男達を攻撃する。


「――その者達を捕らえろ」

 命令が届く。


 冷たい眼差し。

 紅い瞳が真っ直ぐに向けられている。


 駆け寄ってくる兵士達。


 計画では自分達が逃げればそれでおしまいだった。

 証拠は残らない。捕まえても言い逃れるはず。

 だが、象徴は確信をもってこちらを見ている。


「――裏をすべて話してもらうぞ」

 象徴の肩には鳥。


 鳥にはいろんな特徴がある。

 そして、人には感じられない何かを察する能力も――。


 鳥を操る能力。

 その能力を操って、かの象徴は実行犯を捕らえたのだった。





「――まあ、それくらい捕らえるよね」

 くすくす

「だけど、そこからすべてを探れるかな」

 黒幕は笑う。

 トカゲの尻尾切り――切られた実行犯も自分達が()()命令で動いていたのか理解してないだろう。


「さてと。――王と王妃(邪魔者)は助からないだろう」

 即死するだけの火薬を積ませた。

 その後起こる混乱を黒幕は望んでいた。


前々回に出た王妃様はここで亡くなりました……。暗殺です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ