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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
大戦
156/185

152話  《理想郷》。現実を直視させられる

育て方を間違えられた子供。それがマイケルのイメージです

 ぽたぽたぽた


 雫が髪から滴り落ちる。


(どうして……)

 どうしてこうなった。


「惚けてる暇はないぞ。お前が生きてると伝えないと操り人によって最悪の流れになるからな」

 最悪の流れ……。


「戦火で、人がこれ以上死ぬ。ミレニアムヘブンは世界を敵に回す国家という事になる」

「知らないんだよっ!!」

 俺に対処しろというのか。こんな事を。

 世界の敵?

 そんなはずはない。

 

「オレが世界を……理想郷を見せるんだ……その為に生まれたんだぞ………」

 否定しようとするがその声が弱々しい。


『マイケル』

『我らの象徴』

 そうやって崇められるのが当然だった。


 海の中に投げ出されるなんて想像したことが無い。


「お~い」

 難しい事はすべてみんながしてくれた。俺は、象徴としてみんなの前に立って、鼓舞すればいいと聞いたのに――。

 そう。世界が間違っている。だから、俺が、この世界をただせばいいと聞いていたのに――。


「聞いてんのか」

 詰め寄ってくる紅い目。

「えっと……」

 ルーデルだったな。


「早くお前の仲間と合流するぞ」

 だから、その頭を動かせ。

 叱られる。


 何で叱られないといけないんだと文句を言おうとしたが、だが、文句を言う立場じゃないのは気付いた。


 海から……軍船では見えなかった被害の様子が、はっきり目に映る。


 壊れた建物。煙がくすぶって消えて無く。岸には遺体が置かれている。

「………」

「言っとくが、綺麗に残っているのはまだマシな方。ほとんどは損傷が激しくて一部でも残っている程度だぞ」

 言い方が軽いと思えた。でも、軽いのではない。それで冷静さを失ってまともな判断できないとしたが動けないから表に出さないだけ――。

 そうやって振舞っているのが、自分でも理解できた。ようやく理解できたのだ………。


「これが……」

 これが戦争。


 戦争なら以前もした事がある。トーマスと意見の違いで争って敗北した。

 だけど、ここまでひどくならなかった。


 その前に終わったから――。


「どうした?」

「オレは、自国がひどい状態になったのを目の当たりしたんだぞ」

「………」

「だから、やられた分を返さないといけないと思ったんだぞ。だけど……」

 自分が攻撃したのは、一般人。

 自国で被害があったのは、軍の関係機関。


 その差に愕然とした。


「――さっさと仲間と合流しろ」

「なんでそんな言い方っ」

「――被害が増えるぞ。お前が居ないと」

 止める者が居ない。

「象徴に危害を加えられて行方不明。――まず、敵国のせいだと喚いて攻撃するだろうな。何者かがそう扇動する」

「………」

「だから、戻らないといけない」

 断言される。


 その言葉に納得して戻ろうとするが、それより先に軍船が光るのが目に入る。


 それは、軍船に積んである大砲が攻撃をする光。

 ――これ以上の被害を広げるためのモノ。


「ったく」

 舌打ち。

「俺の力を過信するなよっ!!」

 誰に言っているのか分からない言葉をルーデルは告げると同時に。


 きらきらと透明な壁が彼女を中心に出現したのだった。

フリューゲルの護る力というのはどんだけなんでしょう……(ぶるぶる)

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