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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
大戦
151/185

148話 《理想郷》。《盾》に説教される

お子様マイケル

 うまくいかない……。

「なんでだ!!」

 イライラする。


 自国から連絡が来る。戦争の舞台になっていないはずなのに。信頼していた部下が次々と姿を晦ませている。おそらく、敵の仕業だろうと。


 臆病風を吹かれた大臣たちが降伏するように告げているが冗談じゃない。


 自分達が正義だ。

 自分達が正しい事を言っているのにどうして降伏して間違っていたと宣言しないといけない。

 間違ったことなどしていないのに!!


「どうして……こうなった……」

「マイケル」

 トーマが……パステルライツが味方にならなかったからか。

 古い象徴が頭が固くてきちんと正しい事を見極められていないからか。


 自分が正義だ。

 みんな自分の言う事に賛同すればいいのにどうして反対する。

 どうして、被害が大きくなる!!


「どうして、皆俺の言う事聞かないんだ!!」

「マイク!!」

「こうなったら手当たり次第攻撃を」

「――餓鬼か」

 冷めた声。


 呆れたように見てくる兵士。


「誰だ?」

「関係者以外立ち入り禁止だぞ!!」

 ここは関係者以外は入れない様にしていた。下っ端の兵士がここまで来れるはずがないのに――。

 護衛はどうしたんだ。


 その兵士を拘束しようと何人かが動くが、それを――。


 一人目を振り払い、投げ飛ばし、二人目を足で引っ掛けて倒す。そして、その二人の兵士を重ねて、、その上にそいつは乗っかる。


「何者か調べないで掴もうとするのは愚の極みだぞ」

 こちらを見る。


「お前……」

 その顔は――。


「また拘束されたいか?」

 銀色の髪。紅い目。


「エーヴィヒの……」

「おっ、覚えてたか」

 なら良かった。


 軽い口調。

 だが、その口調に騙されてはいけない。


 その眼差しは冷たかった。

 その目は獰猛な猛禽のように向けられていたが、やがて――。


「小物が」

 ぼそっ、小さく呟かれる。


「ったく。エドもどんな教育をしたのか……。いや、違うか。トーマを見ている感じだとエドの忠告をすべて古臭い考えだと言ってきかなかったクチか」

は~やれやれ。


 溜息を吐いてくるそいつは完全にこちらを見下している。


「何の用だ……」

 それ以前にどうやって入ってきたんだ。


「――俺は軍国の象徴だぞ」

 それくらい簡単だ。

 

 簡単ではないはずなのに軽い口調で言われる。

「お前が俺に会いたいと思ってな」

 会いたいと思った?


「そうだ。俺の部下が死んだんだ。お前の指示なんだろう!!」

 思い出して叫ぶと、

「馬鹿か」

 冷たい一瞥。


「俺がわざわざそんな事してどうする」

 今回の戦争に参戦するなんて言ってねえだろ!!

 と告げると顔に向かって蹴り飛ばしてくる。


「おまっ…⁉」

「こんなのでよろめくなよ。俺の部下だったら蹴られる前に避けるぞこの程度なら」

 わざと食らいに来る者もいるけど。


「――で、冷静になったか?」

 尋ねてくる声。


「何が…」

 鼻が痛い。

「戦争に参戦してない俺…というかノーテンもレーゲンブルネンもお前の部下を殺した騒いだ事だ」

 殺してない……。


「そんなわけない!! 現に証拠だって…」

「――阿呆あほう

 頭をはたかれる。


「わざわざそんな事するか。するならもっと上手くやる。そんな素人同然な証拠なんて残すか」

 呆れた声。

「――ここまで事を大きくしてどこに利点がある」

 利点……。


「お前は……ミレニアムヘヴンははめられたんだ」

 冷たい声がきっぱりと事実を告げた。


因みにフリューゲルの蹴りは部下にとってはご褒美。

部下「もっと強く蹴ってください!!」

剣「(ドン引き)」

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