143話 《大地》。その害虫に気付く
テッラ君に死亡フラグが立ちそうですが、象徴は殺したくない
テッラが敵本部に潜り込んで爆破させた部下達の報告をまとめる。
「……性質悪い」
「テッラ様?」
書類を見て寺が舌打ちするのを部下の一人が首を傾げる。
「――テッラ様」
部下の一人。妙齢の女性がテッラの名前を呼ぶ。
「あっ……」
名前を呼ばれてテッラは蒼白になる。
「舌打ちは品のないと言いましたよね」
古参の部下であり、付き合いが長い故の小言。
普段は気を付けていたのに。
「ごめんっ!! 許してっ!!」
「許し…? 偉大なる象徴に許すも許さないもありません。――我が国に相応しい品格を持ちさえすればそんな小言など言わなくてもいいんですよ」
あっ、これ長くなる。
きが遠くなりそうなのを耐えて――耐えないとさらに伸びるから――お説教を聞かないといけないのかと糸か頭の痛みを耐えると。
「テッラ様。報告書に不備でもありましたか?」
不安げに尋ねてくる声。
「いや……そうじゃなくて」
ちらりっ
古参の部下を見ると仕方ありませんと溜息を吐かれる。
これでお説教を回避できると喜んではいけない。話が短かったら再開されるのだろうし。
それで回避できる優しい人物ではない。
――国を誰よりも想うが故の厳しさだ。
今回の県は国の事に関係するのだろうと判断したから――間違ってはいない――お説教を保留にしてくれたのだからしっかり説明しないとお説教の伸びる題材になるので慎重に。
「――君のまとめてくれた書類に不備はない。ただ、不備が無いから見えてきた物もあってね」
パラパラと書類をめくり、
「こことか」
見せたのは爆破させた施設の一室。
「どうやら……内側に害虫が居たようだなと思ってね」
爆破させやすいように選んだ一室だと思われるところの写真――最近発明されたがなかなか便利だ――その写真のある一点を指さす。
「どうして爆発させたら被害が大きくなるように小麦の袋が置いてあるんだろうね」
「なっ…⁉」
実行した部下は慌てて写真をひったくるように奪う。
選んだのは資料室という名の物置だった。
人気があまりしない所。燃え易い物が多くある所。
――だけど、小麦なんてこの場所に置くのは不自然だ。
「親切にも食用として適さなくなった物を置いておくなんてね。――見通しが甘いな」
「………っ⁉」
責める声の響きに彼女は言葉を失ったようでわらわらと小刻みに震えている。
「………」
ホント写真は便利だ。
「どうやら生き残りが居たようだな………」
害虫が以外に厄介な存在だと気付いて舌打ちしそうになるが、今回は未然に防ぐ。
……また説教される名目を作りたくない。
「エーヴィヒに連絡を」
部下に命じ掛けて、
「いや。――いい」
窓を開ける。
「フリューゲルの所に繋ぎを取りたいのいるか?」
誰に言ってんだ?
さあ?
部下達に冷たい対応されても気にせずに声を掛けると。
ばさばさばさっ
我先にという感じで迫ってくる鳥達。
ある意味恐怖だろう。
やった本人も怖かった。
「………」
どれを選んでも怖かったが一羽を選んで手紙を括り付ける。
旅立つ鳥を見て。
「なあ、ここって……」
因みにここはミレニアムヘブンだある。
「フリューゲル(あいつ)来てないよな?」
それなのにこの人気はどういう事だろうか。
「………」
部下達はまだ恐怖体験から抜け出せないのか口を大きく開いたまま止まっている。
それを見つつ、これでお説教回避できないかなと不謹慎な事を思ってしまった。
接した事なくても鳥に人気(?)なフリューゲル(笑)




