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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
大戦
144/185

141話 《剣》。同じ出身地のモノの意見を聞く

かつて同じ国の象徴だったがいろいろあって道を違えた方々

「象徴は民の影響を受けますが……妙ですね」

 イーシュラットからの連絡を受けて、シュトルツはすぐにエーリヒと俺らに連絡をしてきた。


「妙って……」

「有り体に言えば、何者かが我等を嵌めようとしているという事だ」

 エーリヒがリヒトの呟きに答える。

「なんで、嵌めようと……? それに狙いは絞られているようだし……」

 どうしてそこまでされるのかと疑問を抱くと。


「……なあ、俺はその頃辺境に飛ばされていたから確信が持てないけど、これって、ムズィーク王国が滅んだ時と似てないか」

 同じムズィーク出身の象徴二人に尋ねる。


 リヒトは口を挟めないのでじっと聞いているだけだ。

「似てませんよ」

 シュトルツが告げる。

「あの時はもっとひどかったですから」

 王の補佐。その一族の象徴としていたからこその答え。


「ムズィークの滅びはラーセロの前身とは違い、力を持とうとしてその力に振り回されての出来事だった」

 その頃そんな国の在り様に嫌気がさしてエーリヒの庇護下に居た民は独立してレーゲンブルネンという国が生まれた。


 あの頃は酷かった。力を求め力があるからと次々と他国を併呑していった。正義という美酒に酔っていた。

 それ故に周りの国の恨みを買い、同時に侵略された。


 ………防衛特化の俺と俺のエーヴィヒの前身である騎士団は戦場でその国の終焉を見た。元々、騎士団の象徴である俺を女で色素欠乏症アルビノであり、その奇妙な姿の象徴の元戦果を挙げている騎士団をよく思ってなかった他の騎士団達が煙たがっていたのでその滅びの時に被害が少なかった。


 騎士団とその家族を連れて長い放浪生活をするぐらい余力があった。


「ミレニアムヘブンをムズィークの滅びの時のようにすべての国を敵に回して滅ぼそうとしているのか」

 だが、何のために?


「分かりません」

「人だろう。こんな事するのは象徴が動いているのならシュトルツが掴んでいるはずだ」

 エーリヒの言葉に、

「なんで……人って……」

 あっ、リヒトがショック受けてる。

 俺こいつに人の綺麗なところしか見せなかったかなぁ~。

(う~ん。でも、こいつも俺が居ない時にいろいろやらかしている人を見ているはずなんだけどなぁ~)

 教育間違えたかな。鍛え直すか。


 ぞくっ


「姉さん。なんか不穏な事考えてないか」

「不穏な事?」

 いや、考えてないぞ。

「ただ、鍛え直すのにどの訓練をすればいいかと思ってな」

「それを不穏な事を考えてるというんだが!!」

 解せない。


「――で、エドワードの報告でありましたが、ミレニアムヘブンの方で動きは見られましたか?」

 シュトルツの問い掛け、

「お前が尋ねるって事はお前の所は無いんだな。我のとこもない」

「俺もだ。無いよな?」

 リヒトに念のため確認する。

「聞いてないが……」

 何考えてる。


「姉さん達は……」

 リヒトが尋ねる。

「姉さん達は、ミレニアムヘブンがもし自滅して滅んだら」

「――迷惑だ」

「困ります」

「厄介だな」

 三人三様。だが、同意見。


「国が滅ぶとその影響はすごいんだぞ。行き先を失った民を受け入れて、支援して、命令系統がぐちゃぐちゃになるから騒乱は続くしな」

「下手に滅ぼすより、ぎりぎりの状態で保立てる方が他の国の影響は最小限に留められます」

「我はさっさと国に戻ればいいがな」

 エーリヒのいう事はもっともだ。


「神地のように完全に封鎖してしまえばいいけど、そうもいかないからな」

 だけど、目的は分からない。


「………」

 シュトルツが何か考え込んでいるな。手掛かりがあるのか。

 

 視線を送るとシュトルツがアイコンタクトをする。

『後で話があります』

 そう告げて――。






因みにシュトルツとエーリヒはほぼ同じ年齢

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