表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
大戦
142/185

139話  《理想郷》。そして……

マイケルは単細胞(脳筋)キャラだと思えば動かしやすい……

 本国ミレニアムヘブンに敵の襲撃。


「卑怯だぞー!!」

「マイク……」

 本国を心配して青ざめる将達に、

「俺達は悪に屈しないんだぞ!!」

 …………もしここに他の象徴が居るのなら告げただろう。

 正義も悪もない。勝った方が正義であって、負ければ悪だと断罪されるだけだと。


「だが、本国をこのままにしておくわけには……」

「ぐぐぐっ……」

 若い象徴はこういう時自分はどう判断すればいいのか分からない。経験が無いのだ。


 それでも学ぶ機会はある。少なくとも彼と同じ時期に生まれた象徴であるトーマスならここで判断を見誤らに――もっともトーマスならまず戦争をしない――降参して撤退するだろう。


 だが、マイケルはそれをよしとしない。

 象徴としての存在理由は古い体制に対しての反抗。そして、歪んだ選民主義。

 退く事が出来ないのは当然。だが、そこで打開策も浮かばない。


「――なら、目には目をという事はどうでしょう」

 部下の声が届く。

「目には目……?」

 何だいそれは?

 マイケルが尋ねる。

「いえ……、そのままです。悪が我が国を攻めるのなら、我等も悪の基地を壊した方が後々に世界の平和のためにはいいと思いまして」

「だが、そんなの卑怯だぞ!!」

「正義把握に屈しない。それを見せるためにはいいのではないでしょうか」

 それに、あの悪と違い我等は正義だ。大義名分もあります。


「なる程……」

 誰かが賛同する。

「悪を根源から破壊か。いい考えかも知れませんね」

「そうか。なら正義は悪に屈しないところを見せるぞ」

 仲間の士気が上がる。


「すごいぞ。そこでこんないい案を出すなんて」

「いえ…私はこの国の正義を守りたかっただけです」

 マイケルは喜び勇んでその提案をした者に近付いて褒める。

「ははっ。謙遜しなくていいぞ!! 君も俺達の仲間。共に正義を愛するものだ。こういうところで賛同を得るのは喜ばしいんだぞ」

 じゃあ、敵の本部を叩くために軍を動かすんだぞ。

 マイケルはそう告げて用意をする。


 悪に屈してはならない。その言葉がマイケルという象徴に力を与える。


「………」

 マイケルとその取り巻き――そうおべっかばかり言って、苦言を言わない者など部下でもなければ同胞でもない。ただの取り巻きだ――が去っていくのを彼はじっと見つめていた。

「面白いほど、踊ってくれるものだ」

 楽しげに嘲笑を浮かべる彼。

「後は、その悪の本部をエーヴィヒかノーテンだと告げればいい」

 周りに誰もいない。だからこそ表に出てくる本音。


 彼――いや、彼の一族はこのミレニアムヘブン(くに)の行き先などどうでもいい。若い故の無謀さで滅んでも構わない。

 もっとも滅んでしまったらしばらく騒乱が起こるから他の国が滅ぼさないように調整をするだろう。その調整がどこの国の主導でするかそれも興味はない。


「我等を裏切った国が打撃を受ければそれでいい」

 そうこの若い国はそれにうってつけだ。

 その為に踊ってもらうのならいくらでも踊ればいい。だが、

「それを直接見れないのは残念だがな」

 泥船に乗っているのはそろそろ危険だ。一族もそろそろ戻って来いと催促している。


 数日後――。

 マイケルとその部下にある報告が来る。

 敵本部を叩く事を提案した部下が何者かに襲われたようで部屋が荒らされて血痕が残されていた。

 その部屋には僅かな証拠として、エーヴィヒ。ノーテン。レーゲンブルネンしか今は使われてないムズィーク王国の文字が書かれた紙が残されていた。




黙秘……。じゃなくて、ノーテンとエーヴィヒ。レーゲンブルネンはムズィーク王国の字と言語が共通してます。実はラーセロとか神地とは言語とか文字が違う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ