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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
大戦
128/185

126話  《盾》。帰還を感じ取る

別に超直感的なモノではなく、観察力です

 眉間に皺を寄せる。

「ルーデル公。いかがしましたか」

 何かやっただろうかとびくびくして尋ねてくる部下に、

「いや……何でもない」

 しまった。緩みそうな顔を引き締めようとすると不機嫌だと勘違いされてしまう。


 にやにや


 近くに居るマーレが楽しそうにこちらを見てくる。


 アイツそっちゅう遊びに来ると思ったらこちらの思っている事も筒抜けで嫌になる。


 ――先ほどこの辺りにいた鳥が一斉に姿を消した。

 他の者達が気付かなかったのが不思議なくらいの変化だったのに、目の前の事に集中し過ぎで気付かなかったのだろう。


 視界が狭いのは欠点だと教えていたはずなのに――姉さんの部下が――まあ、集中する事の必要性も教えていたからこの場合臨機応変に動けないのを責めるべきか。


 少なくとも、鳥が一斉にいなくなった音に気付く事は必要だろう。

 鳥というか動物の動きは天災の前兆だと教わってきたからな。


 まあ、天災じゃないからな。


 窓の外を気付かれないように見ると、鳥が居なくなった事の意味を正確に捉えたもの達が動き出すのが見える。

「――君の部下はもう少し鍛える必要があるね」

「マーレ?」

「一番気を付けないといけない君の変化を表面的にしか捉えてないから」

 にこにこと告げて、

「良かったね」

 と告げる。

「これでラーセロも枕を高くして眠れるよ」

 この大陸の守護者が帰ってきたんだから。

「……………この大陸の守護者とは言い過ぎじゃないのか」

「今回はそこまで言えるよ。――分を弁えない象徴がやり過ぎたら動いてもらうし」

 多分。この大陸では不文律と言うか暗黙の了解である調停者エーリヒなんて視界に入れないだろうし。


「そこまで面倒な相手なのか?」

「面倒でしょ。――神地は攻めてはいけないという決まりを無視しての攻撃だし」

 あれだけ僕達がお仕置きしたのに懲りてないんだから逆にすごいよ。


 お仕置き……ああ。


「船の上のお前を見ていると陸地の弱さが信じられないんだが……」

「僕は水上特化もあるから。水の近くでは無敵だよ。防衛特化のフリューゲルは水の上で戦うのはあまりないから知らないけど」

 まあ、エーヴィヒ海無いからそれでも僕の方が強いかもしれないけど。

「いろいろあるんだな……」

「まあね」

 戦争嫌いだからしたくないけど。

 マーレの言葉に同意だと頷いて、

「じゃあ、――話し戻すけど」

 今回マーレと話をしているのは商売に関しての話。天都との技術進化のおかげで、マーレの国の欲しがる商品が数多く出来ているのだ。

 

 戦争が起きたらせっかくの商売も中止せざる得なくなる。それも考えて戦争が起きない事を祈るのだが、

(もう、止まらないだろうな)

 だから姉さんが呼び戻されたという事実に帰ってきた事を喜ぶべきか嘆くべきか分からなくなりそうだった。






マーレ以外の友達がいない様になってしまったけど姉関係なく親しいのはマーレぐらいです

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