125話 《剣》。旧友と再会する
旧友が鳥なのか象徴なのかは不明(冗談です)
「元気そうだな。――そうか。子供をわざわざ見せてくれたのか」
船の穂先で、群がっている鳥一羽一羽に挨拶をして――はたから見れば不気味な光景だろうなと思いつつ――話をする。
「すまないが、お前たちの姿で目的地が見えないんだ。少し陸地で待っていてくれないか」
不満げな気配。
「視界が遮られると船が進まないからな。俺を国に行かせないつもりか?」
そう伝えるとしぶしぶという感じで去っていく鳥達。
「相変わらずですね」
苦笑する部下達。
「ルーデル卿が居ないと鳥が静かだと話題になってましたが、国に帰ったらまた元気になるんでしょうね」
部下の一人が告げる。
「静かな鳥の姿が思い浮かばないが……」
常に群がっているのが通常運転なのでその様は見た事が無いと伝えると、
「ルーデル卿は恐らく見る事が叶わないと思いますよ」
力なく言われてしまった。
まあ、そんなこんなで船は陸地に辿り着く。
因みにエーヴィヒには海は無いので、海に隣接しているアルシャナに船は到着する。
「ひっさしぶりやな」
すぐに迎えてくれるのはアルシャナの象徴――カナリアだ。
「カナリア久しぶり」
「驚いた。急に鳥が海に向かって飛んでいくで、非常事態だと構えておったんけど、フリューが来るんやったらしゃーないわ」
「……はは」
苦笑いを浮かべる。
「それにしても……驚いたわ。アルコスに到着するかと思ったわ」
「アルコスは戦争準備中だろう……」
わざわざ近付かないと告げるとにやりとカナリアが笑う。
「知ってるんやな」
にやり
どうやらこちらの反応を確かめていたようだ。
「情報はしっかり聞いているんやな」
「――情報の速さと俺の知っている情報内容でうちの国の情報網を調べるつもりなら無駄だぞ」
「嫌やな。そこでそんな捉え方せえへんで」
「――冗談だ」
笑って告げると、
「びっくりしたわ。フリューがそこまでやるとは思わなかったわ」
「よくゆう」
それくらいされると思っていただろうに。
「――で、どうやった?」
「俺は封鎖前知らないからな。お前の役にたつ情報は与えられないぞ」
それよりもお前の方はまだ上陸許可が出ないのかと尋ねると。
「人身売買してたのはうちの国やったから」
「………」
ああ。上陸許可でないな。
「ざまあみろ」
「口悪いな。悪口教えたんのはカシューかい?」
「いや。お前も教えてたろ。シュトルツが嫌がりそうだと言って」
「そうやった。――いまだにシュトルツに恨まれてるんや。フリューの性別知っていたのなら教えなさいとか、言葉遣いを正しなさいって。性別知らんかった方が驚きや」
「だよな」
なんでアイツ知らなかったんだろう。
「まあ、帰ってきてくれて助かるわ」
「なんでだ?」
お前の国には影響ないだろう。
「そりゃ。アルシャナには影響は無いが、アルコスは隣国だしな。戦争が拡大してあの若造が悪さを働く前に抑止力は必要やろ」
「悪さって……」
「いわゆる、若い象徴の抱きやすい幻想。世界は自分を主役に回っているっていうあれや」
「あぁ……………」
うん。よく分かった。
「じゃあ、さっさと国に帰るか」
「そうしい。情報の最先端であるノーテンがいま情報を渡しているからな」
「ノーテンって……シュトルツが? 珍しい……」
「そんだけ、フリューが留守の間頑張ってたんよ」
褒めてやれ。
そう告げられて、ああ。それが言いたかったのかと納得して。
「――そうする」
と笑って告げた。
カナリアの言い回しは面倒だけど、キャラの書き分けのための犠牲です




