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ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
大戦
123/185

121話  《盾》。客観的な戦争の感想を聞く

マーレはリヒトと同じ弟分だからこそ。リヒトの気持ちはある程度悟ってくれてる

「ラサニエルは、フリューゲルが居ないから正直舐めていたんだよね」

 マーレが告げる。


「舐めてるって……」

「そう。――元々エーヴィヒと交流あんまりないし、伝わっているのは防衛特化な象徴――フリューゲルの事ばかり。そのフリューゲルは今自国に居ない。いるのはよく分かってない象徴。だから、自分の意見が通ると思っていたんだよね」

 僕達はヒメルと交流あるからそんなに甘いものだと思ってないけどね。


「それにしても……今まで、同じ大陸での戦争だったから最悪な事態には調停者であるエーリヒに託せるけど……」

「前から思っていたけど、エーリヒってさ……」

 調停者と言われて戦争を止めていたけど……。


「あそこの国は科学文明が僕達よりも先に進んでいる。それ故に、戦争をしない。戦争……攻撃にその手を動かしたら世界を滅ぼしてもおかしくないからだって」

「そこまでなんだ……」

 確かにあそこの国はいろいろと規格外だったけど……。


「巨大な力は抑止力になる。あくまで抑止力。だから、僕らはかの国を信じるんだよね」

「………」

 そう言えばエーリヒは来てないな。ここに。


 ラサニエルに呼ばれて、ラサニエルの国に来たけど。


「ああ。エーリヒは出ないよ。あくまで抑止力だから。偏った情報を仕入れて調停者としての役割を疎かにしないためにもね」

「そういうモノなのか……」

 難しいものだな……。


「そうだよね~。僕らは自国の事だけ考えればいいけど、あの国は世界そのものの事を考えないといけないからね」

「自国の事も姉貴と協力してるからな……」

「僕もそうだよ~。兄ちゃんと協力してるしさ~。でも、世界なんてそんなものでしょ。一人じゃ無理なんだし~」

 なる程。真理だ。


「神地は、世界を広げると混乱して自国が守れないから閉ざした。僕はそう思うし、それが間違ってないと思うよ」

「何を急に言い出すんだ……?」

「急って言うか~。今回の騒動を思ってさ。自国の勝ちが分かっているから敢えて交流を閉ざしたのかなと思えてさ」

「………」

「戦争は嫌だなと思って」

「同意見だ」

 戦争は嫌だ。


 自分が原因で戦争が起きたから余計そう思える。


 何も出来なくて、歯がゆくて。傷ついていく兵を遠くから実感も沸かないままでいる現状が嫌でエーリヒが来て自分で選択できた事が嬉しかった。


「なんで……」

 遠い目。

 失った事があるから出てくる言葉。

「なんで、戦争をしようとするんだろう……」

「――強くなりたいからですよ」

 返事は近くで来た。


「シュトルツさん」

「先ほどは挨拶できなくてすみません」

 にこやかにあいさつをしてくるシュトルツの傍にはジェシカの姿。


「大きくなりましたね。マーレ」

「そうですか? そう思えないですけど」

 きょろきょろ見渡して確認するマーレ。

「国が強くなれば象徴として人の抱く感情も変化します。それが大きくさせているんでしょう。――男の象徴の方が体格がいいのもそれが理由です」

「でも、僕は体格立派じゃないですけど……」

「民の好みですね。そこは……男の象徴だけでいいという派閥が動いてませんか?」

 後半は俺に向けられた言葉。

「……分かりますか?」

「これでも古参ですから。新しい国…象徴ほど力を振るいたくなるものですよ。忠告してくれるものが身近にいないものほど」

「…………それって、ミレニアムヘヴンの事ですか?」

「それ以外どこがありますか?」

 にこやかに告げる。

「まあ、アルコス……ラサニエルの国の方もそんな礼儀知らずの国に対してのお仕置きもかねての戦争でしょうね」

「巻き込まれる方は堪ったものじゃないですけど」

 マーレの文句に、

「そうですね……。短期で終わらせたいからこそ。防衛特化プリーメラを味方にしたかったんでしょうね」

 シュトルツの言葉に、遠い国に居る姉さんはこの報告をどう思っているんだろうと心配になってしまった。



 





もう一人の主人公。帰ってこ~い。

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