11話 **。自分の名を思い出す
サブタイトルでネタバレさせたくなかったので、名を入れてません。
夜だった――。
闇の中にたくさんの小さな星が輝いている。
手を差し伸ばすと星はあっさり自分の手の中に納まる。
手に星が納まってしまったので周りは真っ暗。何もない。
静かすぎる世界――。
光を求めて歩き出す。
どれくらい歩いただろう。
歩いた距離は長いのか短いのか。
時間間隔も分からない。
一時間? 二時間?
それとも実は五分も経ってない?
進む。
進む。
誰も居ない恐怖。
誰も居ない孤独。
それと戦いながら。
そして……、それに気付く。
黄金の椅子。
質の良い生地が張ってあり、あちらこちらに宝石が飾られている。
冷たい無機質なモノ。
自分はそれを探してここまで来たんだろうか。
自分は――。
ふと、急に空気が変化した。
砂埃。
鉄の臭い。
汗の臭いに、血の臭い。
ぶつかり合う音。
雄叫び。
目の前に槍が現れて迫ってくる。
怖い!!
死にたくない!!
その槍から逃れようと椅子の上に乗る。
すると、椅子から何かが生まれる。
金色の盾。
攻撃を四散させる無敵の盾。
玉座。
盾。
二つに触れると何かが脳内に流れてくる。
巨大な力。
大きな世界。
見えなかったものが急に視界が開けて見えるようになった。そんな感じ。
『ああ。そうか』
僕の名は――。
「戦う玉座の盾」
だ――。
以後、リヒト視線の話は、《盾》になります




