102話 《盾》。王を諭す
王とリヒトは同じコンプレックスを抱いてました
戦争か……。
「ルーデル!!」
「我が国に影響でないように手を回しますが……。その手の事は姉貴の方が向いてます」
俺が出来る事は、戦争によって貿易にどう影響が出て、その被害を少なくして、戦争から逃げてきた者達を保護していくだけだ。
「じゃあ……フリューゲルを呼び戻さないと……⁉」
慌てる陛下に溜息一つ。
「陛下」
追い出したのはあなたでしょうと言いたかったがそれを抑え、
「今から呼び戻しても時間がかかります。それよりも今できる対策を取らないといけません」
冷静になってくださいと告げて、
ばさっ
地図を広げる。
「幸いにも戦争を起こす二国とは直接接していませんので、流民の心配はないでしょう。アルシャナが影響あるぐらいですね」
アルシャナに影響があるとしたらせっかく作り上げた衣料品が売れなくなるな。
おしゃれを気にするのはアルシャナとかフルーラとかだからな。
「まあ、流民が完全に来ないと言えないのでその対策をして、ああ。流民のために食糧難が近隣で起こると思われるので、輸入の方は気を付けてないといけませんね」
「……冷静だな」
陛下の言葉に。
「長生きしてますから」
これで元帰すと次々に起こるだろう対応を進言する。
「私をバカにしてるだろう」
「陛下……?」
何急に言い出すんだろう。
「分かっている!! フリューゲルに対して劣等感ばかりで肝心な時に役に立たない情けない王だと!!」
急に何を言い出すのやら。
「陛下……」
「慰めなど結構だ!! 私だって分かっているのだ。誰も彼も私とフリューゲルを比べる!! 妃だって!!」
「………」
じっとそんな王を見ている。
弱い王だと言えるかもしれない。
姉さんという大きな壁を見て、その重圧に負けてしまったのだと同情の念も浮かぶ。
「責めて欲しいですか?」
「………」
「俺には責めれませんよ」
「……」
「俺もその背中に常に敗北感を味わってますので」
告げると顔を上げる王に向かって静かに、
「俺はまだ象徴で……人外だから追いつける可能性もありますが、陛下は人です」
一度区切る。
「身の丈に合った事を頑張ればいいんですよ」
「………私は王だ」
「先代は……」
思い出す。
「先代は戦争には向かない王だと陛下を評価してました。ですが、戦争以外では優秀だと言ってました」
それは姉さんも俺も分かっていた。
「何故。今それを言う?」
「今なら言葉が耳に届くと思いましたから」
だから、
「陛下。苦手分野は象徴に任せて下さい。貴方には他のくにには無い二つの象徴があるんですから」
そう告げると霧が晴れたように王はこちらを見て、
「これからどうすればいい」
「戦争で起こる二次被害に備える。今はそれですね」
問いかける王にそう告げた。
フリューゲル「戦争の対策に国に戻れないのが歯がゆい」




