表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニンギョウタチの物語  作者: 高月水都
青年期。盾と剣の別行動
101/185

99話  《剣》。その報告で想いを馳せる

遅い連絡が来ました。

 くるっぽー

 くるっぽー


 旋回する鳥に気付いて手を伸ばす。

 鳥はその腕に礼儀良く泊まり、すっと足を見せる。


「ダンケ」

 足には手紙が括り付けられている。


 連絡船では出せない秘密事項――船でもその手の手紙は積んでいるが検問の恐れがあるのでバレたら困るのは鳥に持たせているのだ――時間が掛かるので、それが難点だが、重宝させてもらっている。


「ふんふんふん」

 くるくる巻かれていた文に目を通し、

「ああ。――やっぱり」

 象徴を一人にするという大義名分で反乱を起こそうとした輩をリヒトが水面下で片づけたという報告がそこにはある。

「俺が居なくなるとそういう馬鹿が出てくるんだよな」

 それにしても……。

 書かれているのはリヒトの対応。

「さすが、俺の弟だな」

 自画自賛ではない。正しい対処法だ。


 これくらいしないと。そう、担ごうとした神輿の拒絶。それくらいしないと目が覚めないだろうこういう輩は。


 ほんといい対応だ。

 これは間近で見たかった。面白い事になっていたのだろう。

「担いだ神輿の意思など考えない愚か者が」

 冷たい声が出てしまう。


 守るべき民であっても、同じく守るべき者達の害になるのなら処す。

 そう害虫まで保護して国を腐らせる気はない。


 民であっても国に災いになるのなら切り捨てる。そうリヒトに教えたのは自分だ。


「象徴を一人か……手段さえ気を付ければ同意できたがな」

 言いつつも。それは無いかと思い直す。


 彼らの求める象徴はリヒトだ。

 そして、リヒトを求める理由は、

(あいつが《玉座》だからだ)

 世界を制するもの。強国として宿命づけられた名前。


 ――誰がアイツをそうさせるか!!

 

 強国になりたいと望んでないのなら絶対させない。

 あいつは俺の対で《盾》でいい。


「ああ。――残念だ」

 漏れる言葉。

「俺がそんな幻想を砕いてやれば良かったな」

 まあ、いいか。

「これで、リヒトも自信が付けばいいんだけどな」

 俺のおまけ感覚で、自身が無かったからな。


 そう、弟を案じる。守る《剣》は想いを馳せた。





因みにリヒトはその件は心配かけるから伝えませんでした

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ